【ネオクラシック体験隊】ツインエア+5速MT。イタリアの元気を凝縮したフィアット500Sは抜群に楽しい!

2014年式フィアット500S 独創のツインエア(2気筒ターボ)と3ペダルの5速MTを組み合わせた「イタリアの元気」が味わえるスペシャルモデル 500Sは2013年から定期的に特別仕様として販売
2014年式フィアット500S 独創のツインエア(2気筒ターボ)と3ペダルの5速MTを組み合わせた「イタリアの元気」が味わえるスペシャルモデル 500Sは2013年から定期的に特別仕様として販売

2014年式フィアット500S 新車時価格:5MT 225万7200円 試乗記

キュート&スパイシー、500Sは特別なチンクエチェント

 フィアット500は「イタリアの元気!」をストレートに味わえる逸材だ。愛らしいスタイリング、人車一体感が高まる室内、キビキビとした走り……、イタリア車ならではの「パッション」が全身にあふれている。かつてのチンクエチェントの趣を再現した現行モデルのデビューは2007年。新鮮な印象を受けるが、すでにモデルライフ14年目のベテラン。現行車ながら、ネオクラシックの領域に入っている。趣味の対象として付き合うにも最適なモデルである。

 フィアット500のラインアップの中で格別「イタリアン濃度」が高いのが500Sだ。875ccの直列2気筒ターボ(85ps/145Nm)と5速MTを組み合わせたモデルである。2013年から定期的に特別仕様として販売され、入手はさほど難しくない。日本仕様の通常グレードは2ペダルだが、欧州では3ペダルMTが主流。イタリアの走りを味わうには、3ペダルに勝る選択肢はない。さっそく、2014年モデルを連れ出した。

 取材車は、アバルト用16インチアルミと、アイバッハ製ローダウンスプリングを装着。エグゾーストシステムはドイツGテック製に交換されていた。500Sは、標準の500とは異なるスポーティ形状の前後バンパーと、シート&本革ステアリングを標準装備。それもあってモディファイがよく似合う。

現行500は2007年デビュー すでに14年目を迎えるロングライフ車 そのスタイリングは世界的に評価が高い 500Sの中古車価格は80万〜220万円前後
現行500は2007年デビュー すでに14年目を迎えるロングライフ車 そのスタイリングは世界的に評価が高い 500Sの中古車価格は80万〜220万円前後
875cc直2DOHC8Vターボ 85ps/145Nm 取材車は吸気ダクトを高効率タイプに交換済み 有効なパワーバンドは2000〜4800rpm  独特のビートを奏で吹き上がる 燃費は良好
875cc直2DOHC8Vターボ 85ps/145Nm 取材車は吸気ダクトを高効率タイプに交換済み 有効なパワーバンドは2000〜4800rpm 独特のビートを奏で吹き上がる 燃費は良好
5速MTは2速と3速がやや離れたワイドレシオ設定 操作フィールは良好なタッチ
5速MTは2速と3速がやや離れたワイドレシオ設定 操作フィールは良好なタッチ

適切なシフトワークが楽しい走りの決め手。元気を貰える!

 意外に重厚な開閉音のドアを閉め、ドライビングポジションを決める。運転姿勢はアップライト。グリップの太いステアリングとシフトレバーの位置関係は絶妙だ。走りは痛快。マフラー交換の効果もあって、排気音は全域力強く、ツインエアエンジンの吹き上がりはシャープ。5速MTを積極的にセレクトすると、まさに意のままに走る。

 ただし冷静に観察すると、2000rpm以下のトルクは細く、4800rpmを超えるとパワーは頭打ち。5000rpm以上は回しても意味はない。しかもギア比はワイドレシオ。とくに2〜3速のギア比が開いている。俊敏な加速を得るためにはエンジンを2000〜4800rpmのゾーンにキープし、適切なギアをセレクトする必要がある。街中では2速までシフトダウンするシーンに頻繁に遭遇するし、場合によっては1速を選ぶことも。つまり、非常に忙しい。豊かなトルクを背景に、5速キープでも俊敏に走り回るアバルトとは明らかに異なる。

 だが、楽しさは最高。ドライビングに没頭するほど、クルマと近い関係が築けてスムーズに走れ、そして笑顔になる。フィアット500Sほど、元気をもらえるクルマはない。

500Sの前後バンパーは標準500とは異なるスポーティ形状 フォグランプ標準
500Sの前後バンパーは標準500とは異なるスポーティ形状 フォグランプ標準
取材車はアバルト用16インチスポークアルミ装着 足回りはアイバッハ製スプリングでローダウン タイヤサイズは195/45R16
取材車はアバルト用16インチスポークアルミ装着 足回りはアイバッハ製スプリングでローダウン タイヤサイズは195/45R16
ドイツGテック製エグゾーストは刺激的なサウンド発生
ドイツGテック製エグゾーストは刺激的なサウンド発生
500Sは専用本革巻きステアリング採用 インパネもシルバー仕様 運転姿勢はアップライト 操縦性はクイックフィール 高速時安定性も高水準 取材車のペダルはアバルト用に交換
500Sは専用本革巻きステアリング採用 インパネもシルバー仕様 運転姿勢はアップライト 操縦性はクイックフィール 高速時安定性も高水準 取材車のペダルはアバルト用に交換
シートはレザーとファブリックのコンビ仕様 サポート性良好 運転席は高さ調節機能付き 乗車定員は4名 後席は実用十分なスペース
シートはレザーとファブリックのコンビ仕様 サポート性良好 運転席は高さ調節機能付き 乗車定員は4名 後席は実用十分なスペース
2014年モデル以降TFTメーターを採用 多彩な情報を表示 速度はデジタル
2014年モデル以降TFTメーターを採用 多彩な情報を表示 速度はデジタル
トランク容量はミニマム 2分割式の後席を倒すとフラット空間になる
トランク容量はミニマム 2分割式の後席を倒すとフラット空間になる

フィアット500S 主要諸元と主要装備の主要諸元と主要装備

グレード=500S(2014年式)
新車時価格=5MT 225万7200円
全長×全幅×全高=3585×1625×1515mm
ホイールベース=2300mm
トレッド=フロント:1415×リア:1410mm
車重=1010kg
エンジン=875cc直2DOHC8Vターボ(プレミアム仕様)
最高出力=63kW(85ps)/5500rpm
最大トルク=145Nm(14.8kgm)/1900rpm
JC08モード燃費=26.6km/リッター(燃料タンク容量35リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トーションビーム
ブレーキ=フロント:ディスク/リア:ドラム
タイヤ&ホイール=185/55R15+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=4名
最小回転半径=4.7m
※価格は消費税込

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