GRカローラRZ 価格:6MT 525万円(限定500台/抽選予約終了)。RZは今後正式カタログモデルに発展する可能性が濃厚。開発にはスーパー耐久レースに参戦している“水素エンジン・カローラ”の知見を積極投入。徹底的に鍛え上げた
GRヤリスRZハイパフォーマンス 価格:6MT 456万円 GRヤリスの1.6リッターターボはGRカローラ比で32psマイルド。走りは超スパイシー
GRカローラは12代目カローラシリーズのフラッグシップであると共に、トヨタのスポーツブランド「GR」のオリジナルスポーツカー第4弾。ライバルは色々と考えられるが、身内にも気になる存在がいる。エンジンや4WDシステムがオーバーラップするGRヤリスだ。
GRカローラが生まれたキッカケは豊田章男社長の「お客様を虜にするカローラを取り戻したい」という強い想いだった。そこで開発陣はGRヤリスで開発されたパワートレイン(G16E-GTS)とAWD(GR-FOUR)を水平展開しながら検討を開始。しかし、ヤリスより大きく重いカローラがベースのため開発は難航した。熟成が一気に進んだのは、水素カローラのプロジェクトとリンクさせることがきっかけだったという。
多くの人はGRヤリスとの違いが気になるだろう。いきなり結論になってしまうが、同じパワートレイン、AWDシステムを用いているが、走らせた時の印象は別物である。具体的に説明していこう。
パワートレインは出力の差(GRヤリス/272ps、GRカローラ/304ps)以上にキャラクターが違う。パワー感を重視したGRヤリスに対して、GRカローラはトルク感を重視した特性だ。キャラクター差は、GRカローラに現在開発中の8速DAT(ダイレクト・オートマチック・トランスミッション)が追加されると、より解りやすくなると思う。
フットワークは両車とも素晴らしい。AWDらしからぬノーズの入りの良さとAWDらしいリアの安心感による一体感の高さ、ドライバーの操作次第でアンダーもオーバーも自由自在なコントロール性の高さは共通の美点。違いは、スイートスポットは狭いがハマると超絶楽しい“挑戦的”な走りのGRヤリスに対して、GRカローラはスイートスポットが広く多くの人が安心して楽しめる“懐の深い”走りを備えていること。
このあたりの走りの味わいは、フロントがGA-B、リアがGA-CのハイブリッドプラットフォームのGRヤリスに対して、ロングホイールベース、ワイドトレッド、スタビリティの良さなど、カローラの基本素性の差が大きい。それに加えて豊田章男社長が古くから語っている「味作り」の重要性がシッカリと社内で浸透している証拠と言えるだろう。
では、ズバリどちらを選べばいいのか? 強いて言えば「ヤンチャなGRヤリス」、「大人なGRカローラ」のどちらが好みか……である。ちなみに日常の使い勝手は、5ドアボディのGRカローラが大幅に上回る。