【最新モデル試乗】日産エクストレイルが一段とタフで上質に変身。最新e-POWER+e-4ORCEで見せつけた圧倒の存在感

日産エクストレイル 価格:319万8800~504万6800円 試乗記

日産エクストレイルG-e-4ROCE 価格:449万9000円 全長×全幅×全高4660×1840×1720mmでミドルクラスのSUVとなる エクステリアは初代から受け継ぐタフさに上質さを感じるエッセンスを加えた 2つの要素が調和したプロポーションに仕上げている

日産エクストレイルG-e-4ROCE 価格:449万9000円 全長×全幅×全高4660×1840×1720mmでミドルクラスのSUVとなる エクステリアは初代から受け継ぐタフさに上質さを感じるエッセンスを加えた 2つの要素が調和したプロポーションに仕上げている

新型は伝統の「タフギア」と「上質」を融合。魅力的なスタイル

 日本でもSUV人気がすっかり定着してきた印象だが、これまで何台かエポックメイキングなSUVがあった。そのうちの1台として、大ヒットした初代エクストレイルが挙げられる。2代目はキープコンセプト、3代目でガラリと雰囲気が変わり、今回の4代目で、初代からのDNA、「タフギア」に加えて新たに「上質さ」を備えた。

 公道をドライブするのは初めて。新型に触れるのはプロトタイプ試乗以来で、改めて見てスタイリングが魅力的だ。2段構えのヘッドライトが印象的で存在感すらある。
 大幅に質感の引き上げられたインテリアは、まるでインフィニティ。試乗した最上級グレードのG・e4ORCE(イーフォース)には、キルティング柄でタンカラーのナッパレザーシートまで設定されている。最近ではこのクラスのSUVはインテリアの質感にかなり力を入れるようになってきたが、新型は従来型からその点でもジャンプアップしている。

 ところで、3列シートはひとつ下のXグレードの4WDでないと選べない。アウトランダーは3列シートの販売比率が非常に高かったことを思うと意外な気もしたが、従来型エクストレイルは3列シート販売比率が低かったという事情があるようで、今後は要望によって検討するという。

斜め上からのアングル リア回りの造形にも美しさを感じる

斜め上からのアングル リア回りの造形にも美しさを感じる

直列3気筒1.5リッターの可変圧縮比エンジン・VCターボを採用した第2世代のeーPOWERを搭載 前後それぞれ150kW/330Nmのモーターで駆動

直列3気筒1.5リッターの可変圧縮比エンジン・VCターボを採用した第2世代のeーPOWERを搭載 前後それぞれ150kW/330Nmのモーターで駆動

上段にポジションランプとターンランプ 下段にメインランプを配置

上段にポジションランプとターンランプ 下段にメインランプを配置

視認性が高くキラキラ輝く加工が施されたリアコンビネーションランプ

視認性が高くキラキラ輝く加工が施されたリアコンビネーションランプ

Gグレードは19インチタイヤ&ホイールを標準装備 その他のグレードは18インチとなる

Gグレードは19インチタイヤ&ホイールを標準装備 その他のグレードは18インチとなる

モーター駆動特有のトルクフルな加速を実現 従来のe-POWERよりエンジン回転数を抑え静粛性に優れる

モーター駆動特有のトルクフルな加速を実現 従来のe-POWERよりエンジン回転数を抑え静粛性に優れる

静かで滑らか、そして力強い! ハンドリングも優秀

 走りのポイントはVCターボを組み合わせた第2世代のe-POWERと、e-4ORCEにある。
 プロトタイプでも静かで滑らか、力強い走りに感心したが、公道でドライブしてもやはりそうだ。これまでにも増してアクセル操作へのツキがよく、力感は十分。エクストレイルの車両重量になると大なり小なりと不満を感じそうな気もしたところ、高出力モーターにVCターボが効いて、ぜんぜんストレスを感じない。

 3気筒だと音がどうなのか。プロトタイプ試乗で、かなり抑えられていると感じていたが、公道でドライブすると、さらに気にならないことが確認できた。ディスプレイでエネルギーフローを見なければ、いつエンジンがかかっているのか本当にわからない。これには恐れ入った。エンジンの存在を忘れてしまいそうなほどだ。
 それでいて、高速道路に乗って本線に合流するような「アクセルを踏み込む状況」では、サウンドの高まりと加速の仕方が一致しているので、まるでエンジンで駆動しているかのように感じられる。そのときのサウンド自体も3気筒特有のチープさが上手く抑えられていて、むしろ心地よく感じられる。

 ハンドリングの仕上がりは上々だ。車両重量はそれなりにあるにもかかわらず、ドライブした第一印象としては身軽さが際立っている。これには従来のコラムアシストに換えてデュアルピニオン式を採用した電動パワーステアリングが効いているに違いなく、ステアリングフィールがスッキリとしていて動きに一体感がある。ステアリングの切り始めから遅れなくリニアに応答して、クルマ全体がピタッと正確に追従する感覚がある。

 これにはe-4ORCEも効いていて、前後の駆動力配分と内輪のブレーキ制御を瞬時かつ緻密に行っていることを感じる。また、エクストレイルといえば、インテリジェントトレースコントロールなどの制御をいち早く導入しており、どこまでがどのデバイスの効果なのかはわからないが、とにかく軽やかにターンインできて、小さな舵角のままグイグイと前に進んでいけるのが印象的だ。加速感とハンドリングの双方がほどよくマッチしていて、本当に気持ちよく走れる。

 開発者に聞くと、この走りを実現するため、リアサスのストロークをあえて抑えぎみにしたらしい。後席に乗ると、その影響を感じる面もなくはないが、走りの気持ちよさはなかなかのものだ。Gグレードに標準装備される19インチタイヤは、乗り心地では不利な面もあることには違いない。快適性を重視するなら、18インチタイヤを履くグレードを選ぶという手もある。
 今回、オフロードは走れなかったが、キャンプサイトのような場所くらいなら、十分に確保された地上高と先進の駆動力制御により、何の不安もなく走れそうだ。

 クラストップの容量を誇るラゲッジルームは、本当に広々としていて便利に使えそうだ。新型は、日産車には設定がなかった1500WのAC電源が選べるようになったのもありがたい。
 ナビリンクをはじめいくつかの新機能が加えられたプロパイロットもロングドライブなどの際に大いに役立ってくれるに違いない。さまざまシチュエーションで、より頼もしく便利に使えるクルマに進化している。
 外面も内面も、そしてなにより走りも、新型エクストレイルはこれまでにも増して魅力的な存在に進化していた。

タフギアの強さとモダンな上質さを表現したエクストレイル キャンプ場などアウトドアシーンがよく似合う

タフギアの強さとモダンな上質さを表現したエクストレイル キャンプ場などアウトドアシーンがよく似合う

タンカラーの内装色でインテリアをコーディネートして上質な雰囲気を感じさせる メーカーopの設定 ステアリングはDライン形状デザイン

タンカラーの内装色でインテリアをコーディネートして上質な雰囲気を感じさせる メーカーopの設定 ステアリングはDライン形状デザイン

シート01

クロムでなめされたしなやかで柔らかい肌触りがよい高級本革のナッパレザーを採用したシート 

クロムでなめされたしなやかで柔らかい肌触りがよい高級本革のナッパレザーを採用したシート

12.3インチのアドバンスドドライブアシストディスプレイは表示が2種類

12.3インチのアドバンスドドライブアシストディスプレイは表示が2種類

新形状となるエレクトロニックシフターが先進感覚を演出

新形状となるエレクトロニックシフターが先進感覚を演出

ドライブモードはオフロード/スノー/オート/エコ/スポーツ

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eペダルステップはブレーキを協調制御し雪道走行での安心感が高い

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ナビリンク機能を追加した進化版プロパイロットを設定

ナビリンク機能を追加した進化版プロパイロットを設定

Gグレードにはスマホのワイヤレス充電器が標準装備となる

Gグレードにはスマホのワイヤレス充電器が標準装備となる

写真の5人乗り仕様のほかXグレードには7人乗り仕様も設定 ラゲッジの荷室容量はクラストップの575リッターを確保

写真の5人乗り仕様のほかXグレードには7人乗り仕様も設定 ラゲッジの荷室容量はクラストップの575リッターを確保

電動チルト&スライド+電動格納シェード付きパノラミックガラスルーフはop設定

電動チルト&スライド+電動格納シェード付きパノラミックガラスルーフはop設定

日産エクストレイル 主要諸元

サイドビュー

グレード=G-e-4ROCE
価格=449万9000円
全長×全幅×全高=4660×1840×1720mm
ホイールベース=2705mm
トレッド=フロント:1585/リア:1590mm
最低地上高=185mm
車重=1880kg
エンジン=1497cc直3DOHC12Vターボ(レギュラー仕様)
最高出力 kW(ps)/rpm=106kW(144ps)/4400~5000rpm
最大トルク Nm(kgm)/rpm=250Nm(25.5kgm)/2400~4000rpm
モーター最高出力=フロント:150kW(204ps)/4501~7422rpm
リア:100kW(136ps)/4897~9504rpm
モーター最大トルク=フロント:330Nm(33.7kgm)/0~3505rpm 
リア:195Nm(19.9kgm)/0~4897rpm
WLTCモード燃費=18.4km/リッター(燃料タンク容量52リッター)
(市街地/郊外/高速道路:16.1/20.5/18.3km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=235/55R19+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員 名=5名
最小回転半径=5.4m

エンブレム

走りimage

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