2020 HOTインポートカー特集:628万円の本物AMG。「羊の皮を被った狼」A35・4マチックの本気度!

メルセデスAMG・A35・4マチック 価格:7SMTC 628万円 試乗記

メインIMG_8868.JPGメルセデスAMG・A35・4マチック AMG35は「高次元のドライビングパフォーマンスと快適性を両立させた」新シリーズ A35を皮切りに今後ラインアップを拡充予定 エンジンは専用チューン2リッターターボ(306ps)  駆動方式は電子制御4WD

目指したのはスポーツオールラウンダー!日本仕様は2グレード構成

 AMG・A35・4マチックは、AMG35シリーズの端緒を切るモデル。今後、続々とボディラインアップが増える予定だ。

「高次元のドライビングパフォーマンスを実現しつつ、快適性も損なわないよう開発」と、メーカーが説明するように、狙ったキャラクターはスポーツオールラウンダーである。

 AクラスにBクラス、そしてCLAクラス、GLAクラスと、メルセデス・ベンツのユーザー層を一気に広げた立役者が、社内で「NGCC」(ニュージェネレーションコンパクトカーズ)と呼ぶ、新世代の前輪駆動アーキテクチャーのモデルたち。

 AMG35シリーズはNGCCモデルのボディ骨格に、電子制御式多板クラッチ機構を加えて4WD化。FWDでは成し得ない高度なトラクション能力を確保したうえで、高出力エンジンと専用チューニングサスペンションを組み合わせている。AMGブランドの中でエントリーカテゴリーというポジショニングだ。

 2018年秋に開催されたパリ・モーターショーで初披露された、A35・4マチックの日本販売モデルは、標準仕様(628万円)と特別仕様のエディション1(743万円)が設定されている。試乗車は標準仕様だ。

IMG_8859.JPGAMGスタイリングパッケージ標準 外観は標準Aクラスと共通イメージ 周囲を威圧しないたたずまい リアサスペンションはマルチリンク式

まさに「手がつけられない速さ!」走りは刺激たっぷり

 エディション1は19㌅タイヤを履き、ルーフ後端にウイングタイプのスポイラーが装着されている。標準仕様はタイヤが18㌅で、スポイラーは未装着。

 2リッターの排気量から306㎰/400Nmを発揮するパワーパックやシャシーチューニングは同一ながら、標準仕様の場合は一見しただけではAクラスとあまり変わらない。「羊の革を被った狼」風の雰囲気が感じられる点に、「標準仕様のほうが好み」と声を上げるユーザーは多いかもしれない。

 AMGが開発したAクラスとしては、すでに最強バージョンのA45S・4マティック+(790万円)が発表済み。A45Sのエンジンは、同じ2リッターから421psを発生する──と聞けば、A35の306㎰というデータに驚きはない。

 A45S用ユニットは、AMGの本拠地アファルターバッハで、「ワンマン・ワンエンジン」の伝統に則ってハンドメイドで組み上げられている。一方、A35用エンジンはメルセデスの量産工程で生産される。つまり、コスト面にも配慮された仕様だ。

 ストーリー性は別として、A35は十二分に速いスピード性能を持つ。走りの高い実力はアクセルペダルを踏み込んだ瞬間に、誰もが実感するに違いない。アクセル操作に対して即座にブーストが立ち上がる「パワーゾーン」は3000rpm以上。そこから7速DCTが次のギアへとオートアップを行う6000rpm付近までは、まさに「手がつけられない速さ」だ。

メインIMG_8773.JPGインパネは標準Aクラスと共通形状 写真はAMGパフォーマンスパッケージ(55万円)を装着 ステアリングはナッパレザーとスエード調素材のDシェイプ

サーキットに持ち込みたい、と思わせる強靭さ。マニアの琴線に触れる味わい

 試乗車には電子制御式可変減衰力ダンパー、ライドコントロール・サスペンションや、パフォーマンスシートなどで構成するAMGパフォーマンス・パッケージ(55万円)が装着されていた。

 このオプションに含まれるドライブコントロールスイッチで、最もホットなスポーツプラスのモードを選択すると、サスペンションがハード化すると同時に、変速レスポンスもシャープになる。そして排気サウンドに破裂音が混じる。ドライバーを高揚させる演出はじつに巧みだった。

 コンフォート・モードの乗り味は「毎日の街乗りにも使える」と思えるが、スポーツプラスを選ぶと、一気に揺すられ感が強まる。正直なところ「これは平滑な完全舗装が行き届いた、サーキット用のモードだな」と感じた。こうした印象を含めて、A35のオーナーになった暁には「サーキットに持ち込んでみたい」という印象を持った。

 三菱ランサー・エボリューションが姿を消して久しく、現行SUBARU・WRX・STIもついに生産の最終段階を迎えようという現在、ハイパワーのターボ付きエンジンと4WDシャシーの組み合わせは、新しくもあり、懐かしくもある感覚を味わわせてくれた。

 メルセデス・ベンツが、電動化や環境対応が話題になる今日のタイミングでA35・4マチックというピュアスポーツの存在を世に問う──。

 そう考えると、ボクはこのモデルに対して「温故知新」という言葉が思い浮かぶのだった。

タイトル回りIMG_8886.JPGヘッドライトはアダプティブ機能内蔵のマルチビームLED 走行状況に応じ照射範囲を自動調整

IMG_8920.JPGリアエンドはデフューザー形状 エグゾーストパイプは大径 排気ノートは刺激的

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IMG_8826.JPGAMGアドバンストパッケージ(35万円)装着車は2トーンカラーの本革シート装着 前席はサーキット走行にも対応するバケット形状 乗り心地は固め

メルセデスAMG・A35・4マチック主要諸元と主要装備

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グレード=A35・4マチック
価格=7SMT 628万円
全長×全幅×全高=4440×1800×1410mm
ホイールベース=2730mm
トレッド=フロント1575/リア1570mm
車重=1560kg
エンジン=1991cc直4DOHC16Vターボ(プレミアム仕様)
最高出力=225kW(306ps)/5800~6100rpm
最大トルク=400Nm(40.8kgm)/3000~4000rpm
WLTCモード燃費=12.2km/リッター(燃料タンク容量51リッター)
(市街地/郊外/高速道路=9.0/12.5/14.0km/リッター)
サスペンション=フロント・ストラット/リア・マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=235/40R18+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径= 5.4m
●主な燃費改善対策:アイドリングストップ/筒内直接噴射/可変バルブタイミング/電動パワーステアリング
●主要装備:レーダーセーフティパッケージ(アクティディスタンスアシスト・ディストロニック+アクティブブレーキアシスト+ブラインドスポットアシスト+アクティブレーンキーピングアシスト+アクティステアリングアシスト+プレセーフ)/ASR(アクセレーションスキッドコントロール)/アダプティブブレーキ(ホールド&ヒルスタートアシスト)/マルチビームLEDヘッドライト/アダプティブハイビームアシストプラス/パーキングアシストリアビューカメラ/パークトロニック/アクティブパーキングアシスト/タイヤ空気圧警告システム/7エアバッグ/AMGサスペンション/AMGロゴ入りブレーキキャリパー/マルチリンクⓇサスペンション/18インチ㌅AMGツインスポークアルミ/専用スタイリングパッケージ/AMGルーフスポイラーリップ/プライバシーガラス/前席メモリー付きパワーシート/前席シートヒーター+電動ランバーサポート/イルミネーテッドステップカバー/本革巻きマルチファンクションスポーツステアリング/ダイレクトステアリング/運転席イージーエントリー/クルーズコントロール/オートライト/レインセンサー/キーレスゴー/ダイナミックセレクト/オートAC/10.25インチモニターMBUXシステム/10.25インチコクピットディスプレイ/イモビライザー
●装着メーカーop:ナビゲーションパッケージ18万7000円/AMGアドバンストパッケージ(本革シート+360度カメラシステム+ヘッドアップディスプレイ+アドバンスドサウンドシステム+エナジャイジングパッケージプラス)35万円/AMGパフォーマンスパッケージ(AMGパフォーマンスステアリング+AMGライドコントロールサスペンション+AMGパフォーマンスシート+前席マルチコントールシートバック+AMGドライブコントロールスイッチ)55万円/パノラミックスライディングルーフ16万6000円
●ボディカラー:マウンテングレー(op7万円)
※価格はすべて消費税込み リサイクル費用は2万1650円

IMG_8854.JPGタイヤは235/40R18サイズ アルミは軽量設計5ツインスポーク形状 最低地上高は105mmの設定 エディション1は235/35R19タイヤ標準

IMG_8835.JPG1991cc直4DOHC16Vターボ 306ps/5800~6100rpm 400Nm/3000~4000rpm パワーゾーンは3000rpm以上 WLTCモード燃費:12.2km/リッター

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