【2026年のクルマ界隈/スポーツカー】GR GT/MR2/フェアレディZなどJAPANオリジナルの胎動と躍進。新たな動きに期待が高まる

ニッポンのスポーツカーは元気な動きを示している。性能の深化とヘリテージの継承を目指した新型Z-CARは、2026年夏に発売。標準モデルはロングノーズ化で空力性能をリファイン

ニッポンのスポーツカーは元気な動きを示している。性能の深化とヘリテージの継承を目指した新型Z-CARは、2026年夏に発売。標準モデルはロングノーズ化で空力性能をリファイン

スーパースポーツからビビッドなBEVまで、すべてのジャンルで新たな走りを提案

横田宏近(以下、横田):オートサロンで日産フェアレディZの改良モデルが発表されました。今回のテーマは「Zの歴史を継承し、Zらしさを進化・洗練」させること。具体的には標準モデルのノーズをロング化し空力を改善。初代Z30に設定されていたグリーンのボディカラーを復活しています。またファインチューン版のNISMOは、従来からのATに加え、待望の6速MTが追加されました。

岡本幸一郎(以下、岡本):Zは根強いファンに支えられています。現行モデルの登場直後は半導体不足などの影響で生産台数が限られていましたが、現在は生産も落ち着いています。高価格モデルですが、ユーザーは皆喜んで乗っている。新鮮味が薄れないモデルの代表ですね。NISMOへのMT設定は素直にうれしいな。

横田:当初ATだけだったのは、純粋に速さに注目すると6速MTより9速ATが有利だったからだそうです。でも発売するとMTを望む声が多かった。日産がユーザーの声に応えたカタチですね。

九島辰也(以下、九島):Zはいいクルマですね。現行モデルの登場時、ボクはCOTYの「デザイン・オブ・ザ・イヤー」に推した。自らの伝統を振り返り、その要素を現代に蘇らせたのは見事だと思う。これは歴史のあるスポーツカーだからできる手法だからね。

山本善隆(以下、山本):今回のカラー追加でグリーンの復活に注目ですね。スポーツカーは個性を楽しむクルマでもあるから、選択の幅が広がったのは朗報です。しかもその色に伝統という意味が込められているもイイ。

NISMO

横田:ちなみに日産は、NISMOをスポーツシンボルとして従来以上に注力していく方針です。その第一歩としてオートサロンでオーラNISMO RSコンセプトを公開しました。

九島:トヨタが発表したGR GTとGR GT3、そしてレクサスLFAコンセプトのスーパースポーツ3兄弟も衝撃的ですね。

横田:あのモデルたちは、2027年に正式デビュー予定です。GR GTはまずGT3規格のレーシングカーの戦闘力を高め、通常の市販モデルは「GT3の公道版」という先鋭化したコンセプトが大きな特徴です。

GR GT

山本: 2027年シーズンで、まずワークスとしてGT3マシンを走らせ、2028年からカスタマーにも供給する計画ときいています。GT3カーを起点としたスーパーカービジネスは、「モータースポーツを起点とした、もっといいクルマづくり」を掲げるGRらしいし、ブランディングとしてもいい取り組みですね。

横田:トヨタは、「頑張れば手が届きそう」なMR2も準備中だそうです。

岡本:スーパー耐久で、MRレイアウトのレーシングカーを走らせていますが、その市販版ですか?

横田:2リッターで400psを発揮するMRスポーツという話です。駆動方式は4WDでトランスミッションはDAT(6速AT)。すでにトヨタはGR MR2という商標を登録したようです。

MR2

九島:トヨタは新型MR2で「ハンドリングのイメージを刷新」を狙っている気がするな。

岡本:MR2は1985年に日本初のMRスポーツとして誕生。1989年に2リッターエンジンを積むミドルクラスに発展しました。でも2代目はパワフルなエンジンに足回りが追いつかず、ハンドリングの完成度は高くありませんでした。その後にMR2の精神を継承したMR-Sは、極端な安定志向に振られ、なんのためのMRなのかという印象を受けたものです。新型で、ようやくトヨタから完成度の高いミッドシップが出てくると大いに期待しています。

九島:パワーが400psというと4WDは必須。GRヤリスの高い完成度を見ても大いに期待できると思うな。ところでホンダはスポーツカーについてどんな動きだろう。

山本:走りを追求したシビック・タイプRと多くを共有するプレリュードでいったん「スポーツカー・メーカー」のイメージづくりはできた。今年はN-ONE e:ベースのスーパーONEで、BEVによる新たなスポーツカーのカタチを提案してくるようです。

岡本:スーパーONEはスポーツカーと呼んでいいと思う。こんなに挑戦的なクルマを本当に市販するんだ、という驚きがあります。

スーパーONE

山本:先日プロトタイプにテストコースで試乗しました。パワートレーンはN-ONE e:のポテンシャルを解放したカタチですが、サーキットを攻めるなら、もっとカリカリにしたほうが面白いでしょう。ただ、一般道のワインディングなどをキビキビ走るには必要十分。走りのために小型自動車枠まで広げたボディとともに、バッテリーによる低重心も相まってですごく乗りやすい。運転する楽しさをわかりやすく提示してくれる。

岡本:スーパーONEはスーパースポーツではないところが、むしろホンダらしい。「BEVでスポーツする」という新しい提案です。

横田:ホンダのチャレンジ精神、面白さを感じますね。昔を知るオヤジ世代にはシティ・ターボⅡ、通称「ブルドッグ」の復活という印象を受けます。

九島:ホンダはN-ONEはワンメイクレースを長年実施し、クルマを鍛えている。その成果が生かされているに違いない。ホンダは面白いクルマを続々と登場させてほしいな。

山本:他にもダイハツが開発中のミラ・イースのtuned by S-SPORT Racingや、FRに変身するK-OPENにも期待しています。日本のスポーツカーシーンは、スーパースポーツからミドルスポーツ、そして身近なライト級まで揃って、まるで再びスポーツカー・ブームが再燃するかのような勢いです。とにかく楽しみですね!

Model Guide/モデルガイド

Z-01

Z-02

■NISSAN フェアレディZ
性能の深化とヘリテージの継承を目指した新型Z-CARは、2026年夏に発売。標準モデルはロングノーズ化などデザインの変更でZらしさと空力性能をリファイン。モノチューブダンパーの大径化で運動性能も向上させた。初代Zを彷彿させるグリーンの設定も話題。NISMOには待望の6速MTが新登場。

NISMO RS-01

NISMO RS-02

■NISSAN オーラNISMO RSコンセプト
オーラNISMOのファインチューンモデル。X-TRAIL NISMOのパワーユニットを搭載し、独自制御のe-4ORCEを導入。日産らしい鮮烈な電動スポーツ体験を約束する。レースからフィードバックされた空力性能とアグレッシブな造形も魅力。市販化の可能性も高い。

GR GT-01

GR-GT-02

■TOYOTA GR GT/GR GT3
GR GTは「低重心」「軽量・高剛性」「空力性能」を徹底追求。駆動方式は4リッター・V8ツインターボをフロントミッドに搭載したFR。ボディ骨格にはトヨタ初のオールアルミ製スペースフレームを採用する。公道仕様はハイブリッド、レース仕様のGT3は純エンジン。公道仕様の最高出力は650ps以上に達する。

MR2-01

MR2-02

■TOYOTA FT-Se
MR2はFT-SeのイメージをベースにGRブランドを代表するミドル級のリアルスポーツとして開発中。ミッドシップならではの俊敏なハンドリングと優れたトラクション性能に期待が高まる。400psを発揮する新開発2リッターターボと4WDの組み合わせ。トランスミッションはD-AT(6速AT)。スーパー耐久にランニングプロトが参戦中。

ミラ

■DAIHATSU ミライースTuned by D-SPORT Racing
2025年のオートサロンに提案されたGRスポーツの市販版。ターボエンジン/5速MT/6点式ロールケージを装着し、モータースポーツを気軽に楽しむための1台。その走りはすでに耐久レースやラリーで実証済み。

スーパーONE-01

スーパーONE-02

■HONDA スーパーONEコンセプト
スーパーONEは「意のままに操る喜び」を追求したBEV。仮想有段シフト制御とアクティブサウンドコントロールの協調により、ワクワクする走りを演出。KカーのN-ONE e:ベースながら性能はフルスペック。モーター出力は70kWを誇る。グッと張り出したブリスターフェンダーが印象的。市販車はBOSEシステムなど装備も充実。

KOPEN

■DAIHATSU K-OPEN
次世代コペンはFRオープンスポーツとして開発中。現在、「作ってみる、乗ってみる、試してみる」の精神でランニングプロトを製作。徹底的な走り込みを実施中。軽量化/低重心/理想の重量配分が開発ポイント。市販に期待が高まる。

山本善隆(カー・アンド・ドライバー統括編集長)/岡本幸一郎(モータージャーナリスト)/九島辰也(モータージャーナリスト)/横田宏近(カー・アンド・ドライバー編集委員)

山本善隆(カー・アンド・ドライバー統括編集長)/岡本幸一郎(モータージャーナリスト)/九島辰也(モータージャーナリスト)/横田宏近(カー・アンド・ドライバー編集委員)

 

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