【最新モデル試乗】VWパサートTDIは環境に優しく、パワフルで経済的。走るほどに行動派ユーザーの最適解と実感

VWパサートTDI 4モーションRライン/価格:7DCT 659万9000円。最新パサートはワゴン専用モデル。2リッターディーゼルのTDI、1.5リッターターボ(48V・MHEV)のe TSI、そしてPHEV仕様のeHybridを用意。このうちTDIは駆動方式がAWDとなる

VWパサートTDI 4モーションRライン/価格:7DCT 659万9000円。最新パサートはワゴン専用モデル。2リッターディーゼルのTDI、1.5リッターターボ(48V・MHEV)のe TSI、そしてPHEV仕様のeHybridを用意。このうちTDIは駆動方式がAWDとなる

エボを名乗る最新ディーゼルは注目技術を満載

 2015年当時、欧州で新車販売のほぼ半数を占めたディーゼル車だが、市場縮小が続いている。その一方で「ディーゼルはやっぱり魅力的」という声も根強い。ディーゼルをラインアップしているメーカーはまだ数多くあり、その商品力を高める努力を惜しんでいない。

 今回は、その第一人者であるフォルクスワーゲン(以下VW)のTDIを味わうために、宮崎まで取材に向かった。宮崎を試乗の舞台に選んだのは、景色がきれいで気候が温暖なことに加え、「日南海岸沿いには勾配路が多く、ディーゼルの実力が実感できる」のが理由だという。

リア

インパネ

 ディーゼルエンジンは、膨張比が大きく低回転で大きなトルクを生み出し、高い燃焼効率(燃費がいい)を発揮する。つまり、力強い走りと経済的な点が大きな特徴だ。日常ユースで魅力を実感するパワーソースの代表である。ロングクルーズを好むユーザーに支持層が多い。VWの場合、ディーゼル全車に4MOTION(AWD)が設定されている。ウインターレジャーを楽しむドライバーには、ディーゼルはまさに魅力的な選択肢。その恩恵が存分に享受できるラインアップがVWには揃っている。

 VWの最新2リッター・TDIエンジン(EA288エボ)は、クリーンな性能も大きなアピールポイント。ツインドージングシステムと呼ぶSCR触媒コンバーターの2系統化により、NOx排出量を従来比で最大80%削減することに成功している。これは2系統に分けた触媒コンバーターを同時に作動させるのではなく、コールドスタートでは第1SCRのみ、排気温度が250〜300度に達すると第2SCRに切り替えるシステムである。高速巡行時などで排気温が高温になると、アンダーボディに設置した第2SCRが排出ガスを浄化する、こうした工夫を通じて、前述のようにNOx排出量を最大で80%も削減したのだ。ディーゼルを一段と地球に優しい存在とするVWの積極姿勢には目を見張るものがある。

 また、水冷式EGRシステムの冷却効率向上を図った低圧EGRシステムも技術上のハイライトだ。ターボの下流から取り込んだ二酸化炭素を燃焼室内に入れて、燃焼温度を下げる。この工夫でNOxの排出を抑え、環境性能の向上を図っているのだ。

タイヤ

燃料リッド

 コモンレール式の燃料噴射システムは、2000バールもの高圧で、1回の燃焼あたり9回の分割噴射を行っているという。その精度はまさに精密機械。ここにもVWの最新技術が投入されている。

 パワースペックは、最高出力が193ps/3500〜4200rpm、最大トルクは400Nm/1750〜3250rpm。VWの主力ガソリンユニットとなる1.5リッター・eTSI(150ps/250Nm)と比較すると出力/トルクとも大幅にパワフルで力強い。中でもトルクの太さは圧倒的。しかも発生回転数が低いから、日常的にその恩恵にあずかれる。

 試乗したパサートには、まさしくこの進化版EA288エボTDIエンジンを搭載。4MOTIONが標準という仕様もセールスポイントだ。

加速はスポーティモデルに匹敵。しかも静粛。まさに万能選手

 スタイリングは伸びやかで、独自の自己主張を感じた。これまで控えめであることを是としてきたVWは、最近ではちょっとひとクセ加えて個性を引き立てている。パサートはまさにその代表だ。

 インパネは時代をリードする最新ファッション。機能的で操作性に優れた大型ディスプレイが真ん中に配されている。アルカンターラで上質に仕立てられたインテリアの雰囲気もなかなか好印象だ。

in Car

真横

 VWの広報担当者から、「今回はぜひドライバビリティに焦点を当てて楽しんでほしい」というアドバイスを受け試乗スタート。実に運転しやすい。低回転からこれだけ豊かなトルクを生み出してくれると、どんなシーンでも余裕がある。

 湿式クラッチを備えた7速DCTは、ディーゼルの強大なトルクに見事に対応。つながりはスムーズで、トルコンATと同等とまではいわないが、発進や駐車時の細かな動きでも扱いやすい。

 加速は望めばスポーティモデル並み。ほしいと思ったトルクをそのとおりに生み出してくれる力強さはディーゼルならでは。しかもDCTの利点でダイレクト感たっぷりなのが魅力だ。シフトダウンしてもエンジンブレーキがあまり利かないのは好みが分かれるかもしれないが、変速レスポンスは素早く、アクティブなドライビングも思いのままだ。ハンドリングは極めて素直。意のままに操れて、大柄さを感じさせない。ロック・トゥ・ロックは2回転あまりとクイックなのだが、俊敏さよりも優しさを感じるハンドリングの味付けもいい。

シート01

シート02

 静粛性も高い。窓を開けるとディーゼルの音が聞こえるが、車内はディーゼル車に乗っていることをまったく意識させないほど静かだ。

 後席にも乗ってみた。まずは広さに驚いた。ひざ前にドーンと余裕があり、ガラスルーフによる開放感も高い。荷室の広さと使いやすさも申し分ない。SUV全盛期でも、優れた荷室の使い勝手、自然なドライブフィールを求めて、ワゴンを選ぶ意味は大いにある。ディーゼルとワゴン、そしてAWDの組み合わせは、最強である。

エンブレム

諸元

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