【情熱と革新/究極のアイデンティティ】スーパーカーブームの憧れ「カウンタックを愛した男」/グッドスマイルレーシング代表 安藝貴範

安藝氏のLP400は右側写真のスーパーカーショーに出展されていたクルマそのもの。入手時リアウイングや12本出しマフラーなど各部は改造されていた。「本来はオリジナル状態が好みだけど、モデファイもクルマの歴史の一部、愛せると思った」と語る

安藝氏のLP400は右側写真のスーパーカーショーに出展されていたクルマそのもの。入手時リアウイングや12本出しマフラーなど各部は改造されていた。「本来はオリジナル状態が好みだけど、モデファイもクルマの歴史の一部、愛せると思った」と語る

LP400は「Happyオーラ」の持ち主です!

「グッドスマイル初音ミクAMG」でスーパーGTレースを戦うグッドスマイルレーシングの代表である安藝貴範氏は、ランボルギーニ・カウンタックをこよなく愛するエンスージアストのひとりである。彼の相棒は、新車時から日本にあり、かつてスーパーカーショーにも出展されていたLP400。現在フルレストア中の猛牛との出会いと愛する理由を聞いた。

――まずカウンタックとの出会いを教えてもらえますか?

安藝貴範(以下、安藝):ボクは1971年生まれで、幼少期にスーパーカーブームを体験しました。でも四国の香川に住んでいたので、都会の子のように聖地の「シーサイドモータース」や環八に通って、憧れのクルマを追いかけることは果たせませんでした。近所の駄菓子屋さんのガチャガチャでブロマイドを集めたり、夏休みに都会に出かけた友人からの情報でスーパーカーを知るといったイメージでした。でも、香川にもやがてスーパーカーショーが来て、興奮したことを覚えています。追加料金を払うと運転席に座らせてくれたんです。今でも実家に、カウンタックに座った笑顔のボクの写真が残っていると思います。そのカウンタックは確か黄色だったかな?

人物01

ドア開け

――最初からカウンタックの虜になったわけですね?

安藝:そうでもないかな。カウンタック以外にもコルベットとデトマソ・パンテーラが好きでした。パンテーラは、アメリカンV8を積んでいたのが影響したのか、当時、好きといいづらかったのを覚えています。その後、いったんクルマからは遠ざかり、再びクルマに夢中になったのは大学時代。ちょうど日本車の黄金期だったこともありシルビアなどに憧れました。その頃、自動車雑誌も買いはじめて、いろいろと知識を吸収しました。カウンタックについても学びました。最初はLP500という名だったとか、400と500の違いはウイングがついてるかついてないかだと思っていたけれど、そうじゃないみたいな。改めて歴史を学んだという感覚でしょうか。ガンディーニやジウジアーロなどデザイナーについて知ったのもこの頃です。そういえば雑誌にはカウンタックなどのスーパーカーを扱うショップの広告がたくさん掲載されていて、手に入れることもできるんだ、と驚きました。その頃のスーパーカーは現在と比較すると格安でしたが、もちろん高嶺の花。広告を眺めるだけで満足していました。

スーパーカーショー

――購入のきっかけは、なんだったのですか?

安藝:仕事が軌道に乗り、かつて憧れていたクルマを手に入れはじめました。カウンタックも候補の1台になっていました。探していたのはLP400。ボクはスペック重視ではなくスタイル重視。LP400が一番デザイナーの表現したかった造形で美しいと思ったからです。多くの知り合いに声をかけて探してもらいました。しばらくして見つかったのが現在の愛車です。2011年に購入しました。このクルマは新車時から日本にあった個体で、スーパーカーショーにも出展されていた経歴の持ち主です。かなり改造されていて、マフラーはなんと12本出しでした。本当はオリジナルがよかったのですが、数々のモデファイも40年という時間の経過を物語る「歴史」かな、と感じて購入を決めました。

走り

3台

――実際にステアリングを握っていかがでしたか?

安藝:うれしかったですね。エンジンをきちんと整備し、フレームも直してからは、本来のスムーズさを取り戻して、サーキットも走りました。キャブ車なので夏は苦手だし、出先で積載車のお世話になることもありましたが、愛せるクルマだと感じました。さすがに恥ずかしかったので12本出しマフラーは外しましたが(笑)。またカウンタックならではの魅力も発見しました。信号で止まると、とりあえずおじさんたちは満面の笑顔になる。ウィンドウ越しに、みんなの口が「カウンタック」といっているのがわかるんです。家族連れだと子供にお父さんが一生懸命に教えている。子供たちも見たことのないカタチに興味シンシン。カウンタックは、周囲をハッピーにするクルマだと実感しました。最新のランボルギーニやスーパーカーとはひと味違った「幸せのオーラ」を発散するんです。この発見もうれししかったですね。そこで、これはガレージに置いておくのではなく、積極的に多くの人の目に触れたほうがいいと思いました。グッドスマイルが参加するイベントでは、他のクルマも集めて「ミニ・スーパーカーショー」を展開するようにしました。ボクのカウンタックは運転席への乗り込みは自由。たぶん、世界で一番たくさんの人が座ったカウンタックではないでしょうか。優に1000人は突破していると思います。

人物02

レストア

――現在はレストア中なんですよね?

安藝:はい、埼玉県・三郷の「RUN & RUN」でフルレストア作業中です。もう4年目、2026年の夏には仕上がりそうです。どこにレストアをお願いしようか悩んだのですが、ショップのオーナー自身がLP400を所有していて、カウンタックに精通しているので、お願いすることにしました。先ほどもお話ししましたがボクのクルマはいろいろと改造されていました。ボディカラーもオリジナルとは異なるレッドですし、内装も工場出荷時はホワイトという記録が残っています。ボディにもパテが盛られ、本来のシャープなエッジを失っていました。そろそろオリジナルに戻してあげようと考えたのです。自分の好みで外装は黄色、内装色はタンの組み合わせにする予定です。これでやっと本来のシャープな造形とパフォーマンスが味わえそうです。ワインディングに走りに行ってみたいと考えています。また黄色は目立つので、交差点での「ハッピー効果」が、さらに強まることも期待しています。

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 一見、クールに語る安藝氏。その言葉にはカウンタックへの温かい思いが凝縮されていた。レストアが完了した彼のLP400は、再び各種のイベントや交差点で多くの人を驚かせ、ひと時の幸せをもたらすことだろう。期待したい。

人物03

安藝貴範(あき たかのり)/1971年生まれ。グッドスマイルレーシング代表/株式会社グッドスマイルカンパニー代表取締役会長。幼少期にスーパーカーブームの洗礼を受け、2011年に念願のLP400を入手。カウンタックの「幸せのオーラ」をたくさんの人と共有するため、「グッドスマイル初音ミクAMG」で戦うGTレースでも展示したりしているカーガイ

リア

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