
パオロ・サルトーリ Automobili Lamborghini Head of Japan 日本におけるアウトモビリ・ランボルギーニの責任者。モデナ&レッジョ・エミリア大学で国際経営学の修士号を取得した国際派。出身はヴェネチア近郊。「日本は四季があり美しい」と語る
――まず、今回の特集テーマにかけて、ランボルギーニの「アイデンティティ」について教えてください。具体的にどのようなものでしょうか?
パオロ・サルトーリ:私たちには、揺るぎないアイデンティティがあります。ランボルギーニは大胆で勇敢な存在です。つねに未来を見据え、先頭を走り続けます。同時に、私たちのヘリテージ(伝統)も大切にしています。つまり、歴史を尊重しつつ、現状に甘んじないことが重要なのです。つねに既成概念(ステータス・クオ)に挑み、自分たち自身にも挑戦し続ける。新しいこと、より良いことを実現するのが私たちのアイデンティティです。技術と歴史、その両方を組み合わせ、美しいクルマを生み出していきます。
デザイン、エンジニアリング、研究開発、そしてパフォーマンスと運転の楽しさ。そういった要素の融合によって生まれる感情や高揚感を、お客様に届けたいのです。これが、私たちの基本的な考え方です。もちろん、遠くからでも「あれはランボルギーニだ」と分かってほしい。ひと目でランボルギーニだと認識できること。その強い個性と視認性もランボルギーニのDNAです。
――ハイブリッド化を含む電動化戦略はどう考えていますか?
パオロ・サルトーリ:私たちは「Cor Tauri(コル・タウリ)」と呼ぶ戦略のもと、電動化(ハイブリッド化)に突き進んでいます。生産工場では、2015年からすでにCO₂フリーを実現しています。また新世代モデルの電動化にも取り組み、いま販売しているV12自然吸気エンジンを搭載したレヴエルト、V8ツインターボエンジン搭載のウルスSE、そしてテメラリオの3モデルともすべてハイブリッド化されています。私たちはいま、最も新しく、最も若いプロダクトレンジを持っています。
また、ランボルギーニが考える電動化の目的は環境対応だけではありません。パワーを加えること、そして感情=エモーションを高めることも大切な要素です。完全な電気自動車の計画もありますが、当面の焦点は現時点ではハイブリッドになります。自然吸気エンジンであっても、ツインターボであっても、ハイブリッド化することで、ランボルギーニらしさを実現しています。ちなみにスーパーカーの世界で、全ラインアップの電動化を実現しているのは私たちだけです。
――新世代モデルによって、ユーザー層に変化はありましたか?
パオロ・サルトーリ:そうですね。とくにウルスSEでは、新たなお客様を惹きつけることができています。
スーパースポーツ系についても同様で、たとえばレヴエルトも新たなお客様との出会いを広げてくれています。ただ、スーパースポーツの領域では、どちらかというとリピーターが多いのも事実です。つまり、以前からランボルギーニを買ってくださっている方々です。中でもV12モデルのお客様は、そういう傾向が強いです。
――日本は世界第3位の市場ですが、どんな期待をお持ちですか?
パオロ・サルトーリ:日本は、非常に重要な存在です。2025年も販売は好調です。日本のお客様は、非常に情熱的で、長年にわたってランボルギーニを支持してくださっています。
とくに、ランボルギーニの価値観――テクノロジーとイノベーション、そしてヘリテージ(伝統)の組み合わせ――をとても高く評価してくださっています。イタリアならではの職人技(クラフトマンシップ)についても同様です。しかも、日本のお客様は細部へのこだわりが非常に強い。だからこそ、パーソナライゼーション・プログラム(AD PERSONAM)にも本当に熱心です。自分だけの1台にしたい、ユニークに仕上げたいという思いが強いんですね。だから私たちは、自分だけの1台を選べるラウンジを、サンタアガタ・ボロネーゼに続き日本にオープンしました。実際、日本ではほとんどのクルマが他と違う仕様になっています。ステッチの細部や色合わせ、内装と外装の組み合わせに至るまで、すべてが個別に作り込まれています。
――日本ではどんな体験価値提供の活動を考えていますか?
パオロ・サルトーリ:さまざまな活動を計画しているところですが、ドライビング体験のアクティビティは重視していきます。私たちはお客様との多彩なタッチポイント(接点)を作っていきたい。既存のお客様だけでなく、これからお客様になっていただく可能性のある方々も含めてです。もちろん、サステナビリティへの取り組みを強く打ち出していきたいという思いもありますが、体験も私たちの旅路の一部です。ロイヤルティイベント、ドライビング体験、そしてアドベンチャー的な企画――そういったものを組み合わせて、お客様にランボルギーニの体験機会を提供していきます。
人々があまり経験したことのないイベントにもチャレンジしたいと思います。何か新しいこと、予想されないことをやりたいんです。「予想外(Unexpected)」であることも私たちの価値観の一つですから。お客様が楽しめて、ランボルギーニのライフスタイルやランボルギーニ・ファミリーの一員として参加できるような、多彩な体験機会を作っていきたいと考えています。
私は日本で行われるイベントが本当に好きです。たくさんのお客様にお会いして、直接お話を聞けるのがとても楽しい。皆さんがランボルギーニのどんなところを好きで、これから何を見たいと思っているのかを知ることに意味があります。
――それは大切ですね。これからのランボルギーニに期待がますます高まります。
