知れば知るほど魅力的! 再販タイミングですぐにオーダーできるよう「MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER」を改めてお勉強

MAZDA SPIRIT RACING ROADSTERはモータースポーツ活動から誕生した「ソフトトップ×2リッター」。まさに究極のロードスター。2025年10月4日に発表され12R(200台)と標準(2200台)を限定販売。メーカーでは好評に応え、再販を検討中

MAZDA SPIRIT RACING ROADSTERはモータースポーツ活動から誕生した「ソフトトップ×2リッター」。まさに究極のロードスター。2025年10月4日に発表され12R(200台)と標準(2200台)を限定販売。メーカーでは好評に応え、再販を検討中

レース活動のノウハウを投入した「究極のロードスター」はなにが凄いのか

 2025年10月4日、マツダはモータースポーツ活動におけるサブブランド「MAZDA SPIRIT RACING(以下MSR)」初の市販車となる2台のロードスターを発表した。街中からサーキットまで楽しく走れることを目指したMAZDA SPIRIT RACING ROADSTER(526万5700円)と、最高出力200psを誇るサーキット走行を存分に楽しむための技術と装備を搭載したコンプリートモデルMAZDA SPIRIT RACING ROADSTER 12R(761万2000円)である。

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 販売台数は前者が2200台、12Rが200台。12Rは、商談予約抽選が終了。10月24日に予約受注がスタートしたMSRロードスターも入手は困難な状況である。だが、メーカーはマニアの熱い反応を受け、再販または、新たなMSRモデルの検討に入ったという。

 まずは今回のMSRロードスター登場の背景とコンセプトを見ていこう。MSRロードスターの開発を率いたのは、ロードスター主査の齋藤茂樹氏。

「2019年に主査を拝命して以来、多くのファンから「ソフトトップの2リッターモデルを作ってほしい」という声をいただいてきました。今回MSRブランドとして2リッターソフトトップを世に出せることは、多くのファンに喜んでいただけると思います」と齋藤氏は語る。

走り01

 商品コンセプトは「街中からサーキットまで意のままに操れる楽しさと質感にこだわったライトウェイトスポーツ」。サーキットに特化してガチガチに仕上げるのではなく、マツダが掲げてきた「人馬一体」の延長線上で、あらゆる領域で楽しめることを重視したという。

 走りに加え、内装の触感や操作部の仕上がりなど、五感で「いいクルマに乗っている」と感じられる質感にも徹底的にこだわった。

極限の戦いの場で得たノウハウを傾注。駆動系をファインチューン

 現行NDロードスターが国内に導入された2015年当初、マツダは「日本国内では1.5リッターが最適解」と宣言し、ソフトトップについては2リッターの国内販売は行わなかった。その方針を覆すのは容易ではなく、齋藤氏も当初は葛藤があったという。

 転機は、MSRのスーパー耐久シリーズ参戦だった。MSRの活動は「地球にレーシングの火を灯し続ける」というブランドシンボルに込めた思いを体現する場として、メーカー開発車両が出走可能なST-Qクラスへの挑戦から始まった。

 2021年末の参戦当初はディーゼルターボ(SKYACTIV-D)のMAZDA2を投入。その後、車両をMAZDA3に変更し、2023年からはガソリンエンジン(SKYACTIV-G)のロードスターとの2台体制となっている。

 スーパー耐久への参戦は、想定外のトラブルに直面しながらも、耐久性・信頼性を鍛え上げる絶好の場となった。この経験が大きな裏付けとなり、「量産車にフィードバックできる」と判断。MSRの冠を付けて市販化することで、当初の宣言を覆すことなくファンの期待に応える道が開かれた。

12R

標準

 冒頭で紹介したとおりMSRロードスターには、2つのモデルが用意される。まずMAZDA SPIRIT RACING ROADSTERに搭載されるのは最高出力184psを発揮する、2リッターのSKYACTIV-Gエンジンである。

 外観は、ニュルブルクリンクでのテストを通じて鍛え上げられた専用エアロパーツが与えられ、空力性能とデザインを両立。足元にはレイズ社と共同開発したTE37をベースに最適化した軽量アルミホイールを装着。ばね下重量の低減に貢献する (スーパー耐久に参戦する12号車にも同様のノウハウが盛り込まれている)。

 メカニカルな部分では、エンジンの排気量拡大に伴い、駆動系を一新。トランスミッションは専用品となり、クラッチも2リッター専用設計で、メインドライブギアも強化。信頼性を高めるためにラジエターは大容量化されている。これらはすべてスーパー耐久での知見からフィードバックされた改良点であり、長時間の高負荷走行に耐えるための仕立てである。

エンジン研磨

ビルシュタイン

 足回りは、ビルシュタイン製の車高調整式ダンパーをベースに、匠エンジニアによる専用チューニングを施した特別仕様。ブレーキはブレンボ社製の対向ピストン・レッドキャリパーを装備する。電動パワーステアリングも専用セッティングでアシスト量を調整。ステアリングの切りはじめから手応えのある「人馬一体」を感じられる仕上がりとしている。

 内装は黒基調で統一され、光の反射を抑えるアルカンターラを採用。ドライビングに集中できるコクピットを実現し、ステアリングやシフトノブなど手に触れる部分にも同素材を使うことで、グリップ感と上質さを追求した。

室内全体感

12Rは匠の技を傾注したスペシャル版。公認アフターパーツで走りの奥行きを提案

 12Rはさらに踏み込んだ仕様だ。最高出力は200ps。排ガス規制や効率を犠牲にすることなくハイパワーを実現するため、開発陣は吸気から排気、燃焼まで徹底的に手を入れた。匠エンジニアが吸気ポート研磨を行い、フレッシュエアダクトは大型化。高回転型のカムシャフトや強化バルブスプリングを投入し、排気系も形状が見直された。さらに駆動系においてもシングルマスフライホイールを採用することで応答性を高めた。サーモバンテージやステンメッシュホースを使った遮熱・耐久対策も抜かりがない。エンジン内部にはスーパー耐久仕様と同じ低抵抗ピストンとピストンリングを採用し、耐久性と効率を両立している。

走り02

プレート

 生産工程も特別である。マツダとして初めて「1G締め」(車重がかかった状態での締め付け)を製造ラインに導入し、さらにアライメントを設計値どおりに合わせ込む。これを実現するために通常の生産ラインからいったん車両を外し、匠エンジニアが調整を行ってから再びラインに戻すという、手間がかかる工程を導入している。まさに工房仕上げと量産のハイブリッドだ。

 MSRロードスターのもうひとつの特徴が、非純正パーツを推奨している点だ。今回、MSRロードスターの2台には「MSR SPORTS PACKAGE」として、エキスパートが選び抜いたアフターパーツを公式に推奨している。フジツボ製チタンマフラー、ブレンボ製ブレーキパッド、YOKOHAMA ADVAN NEOVA AD09などがその代表である。これらはマツダが「このクルマに最適」と判断し、パッケージとして提案している点がユニークだ。つまり、メーカー純正だけに縛られるのではなく、「サーキットを楽しむユーザーのために、ベストな組み合わせを公認する」というスタンスを取っているのである。

走り03

 MSRロードスターと12R。前者は公道からサーキットまで破綻なく楽しめるオールラウンダーとして、後者はサーキットでの強烈なレスポンスと耐久性を突き詰めた工房仕上げのスペシャルとして、それぞれの個性が明確に描かれている。2台には共通して「モータースポーツで鍛え、五感で楽しむ」という思想が息づいている。まさにマツダの哲学と技術の集大成を体現する存在だと感じた。

12Rの「究極の走り」はグランツーリスモ7で堪能できる!

操作イメージ

 200台限定販売の特別モデル、MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER 12Rの究極の走りを誰もが体感できる舞台が用意されている。PlayStation®用『グランツーリスモ7』だ。ゲーム内のブランドセントラルにて1200万クレジットで購入が可能だ。12Rの収録に際しては、実車開発に携わったマツダスタッフが走行性能/サウンド/デザインを監修し、限りなく現実に近い挙動が再現されている。つまり自宅にいながら、12Rのレスポンスやサーキットでの切れ味を味わえるのだ。高回転域でのサウンドは必聴! またNR-Aと12Rの動きの違いもぜひ味わってみてほしい。

「PlayStation」および「グランツーリスモ」は、株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントの登録商標および商標です。PS5®/PS4®用ソフトウェア『グランツーリスモ7』の発売元は株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントです。

「PlayStation」および「グランツーリスモ」は、株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントの登録商標および商標です。PS5®/PS4®用ソフトウェア『グランツーリスモ7』の発売元は株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントです。

 現実とバーチャルがクロスオーバーする新しい体験は、12Rの魅力を広く届けるためのマツダからの贈り物といえる。そしてMAZDA SPIRIT RACINGは、eスポーツからリアルモータースポーツへのステップアップ支援や草の根活動にも力を注ぎ、バーチャルとリアルをつなぐ新しい「クルマの楽しみ方」を提案している。

クレジット

ファンフェスタ・トークショーでピストン西沢氏が走りを絶賛!

 2025年10月4〜5日に開催されたマツダファンフェスタで、開発主査の齋藤茂樹氏や開発エンジニアが登壇してトークショーが開催された。いち早く2台に試乗したMCのピストン西沢氏は「やはり2リッターなのでトルクが出ていて速い。しかも12Rはエンジンの存在感が別物。アクセルのつきが3000〜4000rpmあたりからよくなってきてビューと加速していく。チタンマフラーの音も素晴らしかった」と絶賛。西沢氏は米国仕様2リッターカップカーも所有している。「速さと安定感はカップカー以上」と語った。

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