フェラーリがPHEVモデル「SF90」の後継モデルとなる「849テスタロッサ」を発表。“赤いヘッド”を意味するテスタロッサの車名を加えたスーパースポーツは、リアミッドシップに3990cc・V8DOHCツインターボエンジン(830ps)、前輪左右に独立配置された2基のモーターとエンジンおよびギアボックス間に設置したモーター(3基で計162kW=220ps)に、総電力量7.45kWhの高性能リチウムイオンバッテリーという、計1050psのパワーユニットを搭載して4輪を駆動(AWD)。エクステリアは1970年代のレーシングスポーツカーの512Sからインスピレーションを受け、最新のデザイン言語で再解釈。インテリアはシングルシーターのコクピットをイメージしつつ、最新の先進機能装備を採用。ハイパフォーマンス志向の「アセット フィオラーノ」仕様も設定
伊フェラーリは2025年9月9日(現地時間)、従来のSF90の実質的な後継を担う新世代のプラグインハイブリッド・スーパースポーツ「849テスタロッサ(849 Testarossa)」を発表。また、同年9月24日にはフェラーリ・ジャパンが849テスタロッサを日本で初披露した。
▲フェラーリ 849テスタロッサ 全長4718×全幅1999×全高1225mm ホイールベース2650mm トレッド前1678×後1673mm 乾燥重量1570kg(前後重量配分45:55) 公表値の最高速度は330km/hで、0→100km/h加速は2.3秒
エンジンのシリンダー数の“8”と1気筒当たりの排気量である“49”を組み合わせた“849”の数字に、跳ね馬の伝説的なネーミングで“赤いヘッド”を意味する“テスタロッサ(Testarossa)”を組み合わせた車名を冠する849テスタロッサは、従来のSF90の実質的な後継を担う新世代のPHEVモデルに位置する。
注目のパワートレインは、リアミッドシップにシリンダーヘッドやエンジンブロック、エキゾーストマニホールド、インテークプレナム、チタンファスナー、バルブトレインシステム、燃料レールなどの刷新を図るとともに、低摩擦ベアリングとタービンケーシングのヒートシールドを組み込んだ大型の新ターボチャージャーを配してパワーアップを果たした3990cc・V型8気筒DOHCツインターボエンジン(最高出力830ps/7500rpm、最大トルク842Nm/6500rpm)、前輪左右に独立配置された2基のモーターとエンジンおよびギアボックス間に設置したモーター(3基で計162kW=220ps)に、総電力量7.45kWhの高性能リチウムイオンバッテリーおよびインバーターを組み合わせた、計1050psのパワーユニットを搭載して4輪を駆動(AWD)。トランスミッションにはセッティングを見直した8速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)を採用し、eDriveモードでの最大航続距離は25kmを実現する。性能面では最高速度330km/h、0→100km/h加速2.3秒を達成し、フェラーリのテストコースであるフィオラーノのラップタイムは1分17秒500を成し遂げた。エンジンサウンドの音量を全回転域で増加させ、なかでも低・中回転域で“濃密でピュアなサウンド”になるようチューニングしたことも訴求点である。
▲パワートレインはリアミッドシップに3990cc・V8DOHCツインターボエンジン(830ps/842Nm)、前輪左右に独立配置された2基のモーターとエンジンおよびギアボックス間に設置したモーター(3基で計162kW=220ps)に、総電力量7.45kWhの高性能リチウムイオンバッテリーおよびインバーターを組み合わせた、計1050psのパワーユニットを搭載して4輪を駆動(AWD)
▲V8エンジンはシリンダーヘッドやエンジンブロック、エキゾーストマニホールド、インテークプレナム、チタンファスナー、バルブトレインシステム、燃料レールなどの刷新を図るとともに、低摩擦ベアリングとタービンケーシングのヒートシールドを組み込んだ大型の新ターボチャージャーを配してパワーアップ。車名の通り“赤いヘッド=テスタロッサ(Testarossa)”を配する
車体面では、新設計のアルミニウム製シャシーに電子制御ダンパーを備えた前後ダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用してエンジンパワーに対するタイヤグリップやレスポンスを向上させながら、ブレーキシステムの性能向上と電子制御の進化を図り、合わせてフェラーリ・インテグレーテッドビークルエスティメーター(FIVE)システムを最適化させて、最も要求の厳しいドライバーにも最高のドライビングスリルを提供する。最新世代のサイドスリップコントロールや電子制御ディファレンシャルなども配備した。足もとは新造形の鍛造20インチアルミホイール(前9.5J/後11.5J)を装着し、組み合わせるタイヤはミシュラン、ピレリ、ブリヂストンと共同開発。標準でピレリ P Zero Rまたはランフラットのブリヂストン POTENZA SPORT RFTを、オプションでサーキット志向のミシュランPilot Sport Cup 2およびCup 2Rを採用する。サイズは標準で前265/35R20/後325/30R20に設定した。
▲新設計のアルミニウム製シャシーに電子制御ダンパーを備えた前後ダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用。ブレーキシステムの性能向上と電子制御の進化も図り、合わせてフェラーリ・インテグレーテッドビークルエスティメーター(FIVE)システムを最適化させて、最高のドライビングスリルを提供する
フラヴィオ・マンゾーニ氏率いるフェラーリ・スタイリング・センターが手がけたエクステリアは、従来のSF90ストラダーレに大きな変更を加えて、最新の独自技術とパフォーマンスを強調する。垂直方向と水平方向のラインが作り出すフォルムは、1970年代の航空機とスポーツプロトタイプからインスピレーションを受けてデザイン。テスタロッサの象徴的なアピアランスであるサイドビューは、メインプレスラインを起点とする立体的なデザインのドアを配置したうえで、インテークダクトを兼ねたドア上面の深い彫り込みを入れて、プロダクションモデルでは非常に困難とされる複雑な3次元形状を構築。これが512Sにインスパイアされたダブルテールデザインへとつながり、キャビンの視覚感を変えて、よりよりキャブフォワードなスタイリングを創出する。一方、フロント部は1980年代のフェラーリのジオメトリーを彷彿とさせる、構造化されたボリュームで構成。12チリンドリやF80で採用した、水平フェイシアがブリッジを形成してヘッドライトと接続する先進的な造形を導入し、合わせてパンパー下部をボディカラーのフリックとブラックのスプリッターでまとめて、849テスタロッサならではのマスクを形成した。そしてリアセクションは、512Sをオマージュしたツインの円形テールパイプとそれを覆うパネル、可変式のリアスポイラー、新アレンジのフルワイドディフューザーなどを採用して、高いパフォーマンスをイメージさせる後ろ姿を演出する。ボディサイズはSF90ストラダーレ比で8mm長く、27mm幅広く、39mm高く、ホイールベースが同寸の全長4718×全幅1999×全高1225mm/ホイールベース2650mmに設定した。
▲テスタロッサの象徴的なアピアランスであるサイドビューはメインプレスラインを起点とする立体的なデザインのドアを配置したうえで、インテークダクトを兼ねたドア上面の深い彫り込みを入れて、プロダクションモデルでは非常に困難とされる複雑な3次元形状を構築する
▲フロント部は1980年代のフェラーリのジオメトリーを彷彿とさせる、構造化されたボリュームで構成。水平フェイシアがブリッジを形成してヘッドライトと接続する先進的な造形を導入し、合わせてパンパー下部をボディカラーのフリックとブラックのスプリッターでまとめて、849テスタロッサならではのマスクを演出する
▲リアセクションは512Sをオマージュしたツインの円形テールパイプとそれを覆うパネル、可変式のリアスポイラー、新アレンジのフルワイドディフューザーなどを採用して、高いパフォーマンスをイメージさせる後ろ姿を実現する
空力面にも徹底してこだわる。512Sや512M、FXX-Kといった名プロダクションカーおよび名レーシングカーからインスピレーションを受け、エアロダイナミクスと冷却効率を最適化。ダウンフォースは250km/h時で415kgとSF90ストラダーレから25kgの増加し、また冷却性能も同比で15%向上させた。
インテリアに関しては、水平基調のダッシュボードを備えるベルリネッタのレイアウトと、シングルシーターのコクピットを高度に組み合わせたことがトピック。ダッシュボードの上部はアルミニウムで囲むC字型のエアベントを配したフローティングタイプで構成し、また上部と下部の間にはメインコントロールと助手席スクリーンを統合した対照的な水平バンドを配備する。ダッシュボード下部には、コントロール機能を組み込んだ2つの建築的なセイル(帆)モチーフを採用。F80にインスパイアされたシフトゲートは、ステアリングホイール側のセイルにフローティングポジションで統合した。センタートンネルも新設計し、セカンダリコマンドをより合理的でミニマルな方法でレイアウト。中央のセイルのテーマはドアパネルにも採用し、アルミニウムグリル付きのウーファーを収容するドアカードに取り入れる。また、ドアパネル下部の形状を変更して乗降性を高め、パッセンジャー側のグローブボックスとリアベンチのスペースも拡大した。一方、ステアリングホイールはデジタルとアナログを合理的に融合。エンジンスタートボタンなどF80ストラダーレから物理スイッチ類を引き継ぐとともに、デジタルクラスターを介してハイブリッドシステムのドライビングモードを素早く切り替えることができる機能を配備した。
▲インテリアは水平基調のダッシュボードを備えるベルリネッタのレイアウトと、シングルシーターのコクピットを高度に組み合わせる。ダッシュボード下部にはコントロール機能を組み込んだ2つの建築的なセイル(帆)モチーフを採用
シートについては、コクピットの形状にマッチした彫刻的な張り地とデザインを施したコンフォートシートと、理想的なサポート性を実現したスポーティなサイドボルスターを備えるカーボンファイバー製レーシングシートという2つのバージョンを設定する。どちらのバージョンも、人間工学とスタイルを徹底追求して仕立てた逸品だ。
▲シートはコクピットの形状にマッチした彫刻的な張り地とデザインを施したコンフォートシートと、理想的なサポート性を実現したスポーティなサイドボルスターを備えるカーボンファイバー製レーシングシート(写真)を設定
849テスタロッサには、ハイパフォーマンス志向の「アセット フィオラーノ(ASSETTO FIORANO)」パッケージもラインアップされる。エクステリアでは、大型化されたフロントフリックやフロントアンダーボディに追加するボルテックスジェネレーター、ツインテールに取って代わるツインウィングなどを装備して空力性能をアップ。足もとにはより剛性の高いシングルレートのマルチマティックショックアブソーバーや標準比で35%軽量化したスプリングを組み込んでロールを10%低減するとともに、シューズに20インチカーボンファイバーホイール+ミシュランPilot Sport Cup 2タイヤを装着する。インテリアについてはカーボンファイバーやチタンなどの複合材料を多用するとともに、標準シートと比較して約18kgの軽量化を果たしたアルカンターラ表皮の軽量チューブラーシートを配備した。ボディカラーはビアンコチェルヴィーノとロッソコルサの2色を設定し、クラシックなダブルストライプを配して魅惑的なグラデーションを完成させている。
▲849テスタロッサにはハイパフォーマンス志向の「アセット フィオラーノ」パッケージもラインアップ。エクステリアでは大型化されたフロントフリックやフロントアンダーボディに追加するボルテックスジェネレーター、ツインテールに取って代わるツインウィングなどを装備して空力性能をアップ
なお、849テスタロッサはまず2026年の第3四半期に欧州市場でデリバリー開始。日本では2027年に開始する予定で、車両価格は849テスタロッサが6465万円、アセット フィオラーノ仕様が+602万7000円(予定)に設定している。