アウディが電気自動車のフラッグシップグランツーリスモ「e-tron GT」シリーズをマイナーチェンジ。新たな高性能モデルとして「RS e-tron GTパフォーマンス」をラインアップし、車種展開は「S e-tron GT」と合わせて2グレードで構成。最大150kWの急速充電に対応し、一充電走行距離はS e-tron GTで648kmを達成。グローバル限定モデル「RS e-tron GTパフォーマンス エクスクルーシブエディション」も25台限定で同時発売
アウディ ジャパンは2025年8月19日、電気自動車の旗艦グランツーリスモである「e-tron GT」シリーズを商品改良し、同日より発売した。
▲アウディS e-tron GT 価格:1728万円 全長5005×全幅1965×全高1390mm ホイールベース2900mm 車重2330kg 乗車定員5名 一充電走行距離(WLTCモード)648km 交流電力量消費率(WLTCモード)174Wh/km 写真のボディカラーはフロレットシルバーメタリック
車種展開は以下の通り。
S e-tron GT:1728万円
RS e-tron GTパフォーマンス:2469万円
RS e-tron GTパフォーマンス エクスクルーシブエディション:3129万円(販売台数25台限定)
今回の改良は、内外装の仕様変更や機能装備のバージョンアップ、電動パワートレインの進化などを図るとともに、新たな高性能モデルとして「RS e-tron GTパフォーマンス(RS e-tron GT performance)」をラインアップに加えたことが特徴。また、全世界299台のグローバル限定モデル「RS e-tron GTパフォーマンス エクスクルーシブエディション(RS e-tron GT performance exclusive edition)」を25台限定で日本に導入する。
▲アウディRS e-tron GTパフォーマンス 価格:2469万円 全長4995×全幅1965×全高1380mm ホイールベース2900mm 車重2340kg 乗車定員5名 一充電走行距離(WLTCモード)631km 交流電力量消費率(WLTCモード)179Wh/km 写真のボディカラーはベッドフォードグリーンメタリック
まず注目のパワートレインは、従来と同様に前後に永久磁石同期モーター(PSM)を配した電動4輪駆動のクワトロと駆動用リチウムイオンバッテリーで構成。リアアクスルには新開発のPSMを配備する。システム最高出力/最大トルクはS e-tron GTが500kW/740Nm、RS e-tron GTパフォーマンスが680kW/1027Nmを発生。性能面ではS e-tron GTが0→100km/h加速3.4秒/最高速度245km/h、RS e-tron GTパフォーマンスが同2.5秒/250km/hを実現している。
▲パワートレインは従来と同様に前後に永久磁石同期モーター(PSM)を配した電動4輪駆動のクワトロと駆動用リチウムイオンバッテリーで構成。リアアクスルには新開発のPSMを配備する。S e-tron GTはシステム最高出力500kW/最大トルク740Nmを発揮
駆動用リチウムイオンバッテリーについては、総電力量を105kWhに高めるとともに、重量を従来比-9kgの625kgと軽量化。また、2層式冷却プレートを最適化することで、33個のセルモジュール全体のエネルギー容量を12%増加させる。回生システム(回生ブレーキ)から得られるエネルギーも、従来の290kWから400kWにアップした。一充電走行距離および交流電力量消費率は、WLTCモードでS e-tron GTが648km/174Wh/km、RS e-tron GTパフォーマンスが631km/179Wh/kmを成し遂げる。一方で充電システムの改良も図り、最大150kWの急速充電に対応。急速充電器を利用した際は、33分で10%から80%の充電を可能とした。
▲駆動用リチウムイオンバッテリーは総電力量を105kWhに高めるとともに、重量を従来比-9kgの625kgと軽量化。また、2層式冷却プレートを最適化することで、33個のセルモジュール全体のエネルギー容量を12%増加させる。充電システムの改良も図り、最大150kWの急速充電に対応
シャシー面については、2チャンバー/2バルブテクノロジーを採用した新開発のアダプティブエアサスペンションを標準装備して、快適性を損なうことなくドライビングダイナミクスを飛躍的に高めたことがトピック。より緻密な制御を行うアクティブサスペンションもオプションで用意する。また、オールホイールステアリング(4輪操舵)をオプションで設定した。一方、制動機構では新開発の大型ブレーキシステムを採用し、タングステンカーバイドコーティングを施したブレーキディスクをRS e-tron GTパフォーマンスに標準で配備。カーボンファイバーセラミック製ブレーキディスクもオプションで選択可能とした。足もとに配するホイールのラインアップも刷新。S e-tron GTは20インチアルミホイール マルチスポークSデザイン ポリッシュト(前9J/後11J×20、タイヤは前245/45/後285/40R20サイズ)を標準、21インチアルミホイール10スポークトラピゾイドモジュール ブラックポリッシュト(前9.5J/後11.5J×21、タイヤは前265/35/後305/30R21サイズ)をオプションで、RS e-tron GTパフォーマンスは20インチアルミホイール5スポークエアロモジュール ブラックポリッシュト(前9J/後11J×20、タイヤは前245/45/後285/40R20サイズ)を標準、21インチアルミホイール6ツインスポークRSデザイン ポリッシュト&ミルドまたはブラックポリッシュト&ミルド(前9.5J/後11.5J×21、タイヤは前265/35/後305/30R21サイズ)をオプションで設定している。
エクステリアについては、従来の流麗かつエモーショナルなスタイリングを踏襲したうえで、2モデルのキャラクターをより鮮明に打ち出す。まずS e-tron GTは、エレガントでスポーティな雰囲気を強調したことが訴求点。フロントマスクにはブラックで縁取られた反転デザインを採用したシングルフレームを配し、合わせてグリルにエンボス加工を施して、立体的な造形を創出する。また、シングルフレーム上部にボディカラーと同色のペイントストリップを設置することにより、いっそうスポーティで印象的な顔を形成した。加えて、エアカーテンの形状を最適化するとともに、より力強いデザインに仕立てる。一方でリアビューには、垂直フィンを備えたエレガントなデザインの空力ディフューザーを新採用。上部にはボディカラーと同色のインレイを装着し、視覚的な質感も引き上げている。
一方でRS e-tron GTパフォーマンスは、さらなるスポーティさを追求。反転デザインを採用したシングルフレームにはRS専用の3Dハニカム構造を採用し、またブラックのマスクを囲むように設置したエプロンによって低い車高を強調する。さらに、機能的なL字型のブレードと組み合わせることで地を這うようなスタイルを実現。アウディレーザーライトも標準で組み込んだ。一方、リアビューにはモータースポーツからフィードバックされた要素を随所に採用。流線型のディフューザーにはL字型ブレードを配するなど、フロントの立体的なデザインと同意匠で仕立てる。また、カーボンパッケージおよびカーボンカモフラージュマットパッケージをオプションで用意した。
全モデル共通の変更点としては、新しいコーポレートアイデンティティ(CI)を採用したことがトピック。高品質な2次元デザインのフォーリングスエンブレムが、より先進的かつ印象深いマスクを演出する。ボディカラーについては、ソリッドなアルコナホワイトのほか、フロレットシルバーメタリック、ケモラグレーメタリック、ミトスブラックメタリック、プログレッシブレッドメタリック、アスカリブルーメタリック、ベッドフォードグリーンメタリック(RS e-tron GTパフォーマンスのみ)、デイトナグレーパールエフェクト、ニンバスグレーパールエフェクト(RS e-tron GTパフォーマンスのみ)を設定。Audi exclusiveのスペシャルボディカラーも選択可能としている。
▲RS e-tron GTパフォーマンスはさらなるスポーティなスタイリングを追求。リアビューにはモータースポーツからフィードバックした要素を随所に採用。流線型のディフューザーにはL字型ブレードを配するなど、フロントの立体的なデザインと同意匠で仕立てる
内包するインテリアは、エクステリアと同様に新しいCIが反映され、シート、ステアリングホイール、シルプレート、デジタルコンテンツのデザインを見直したことがアピールポイント。コクピットはドライバーを包み込むような“モノポスト”デザインを基調に、グランツーリスモらしいスポーティさとラグジュアリー、そして先進技術を高次元で融合させる。ステアリングホイールには上下をフラット化した新タイプを採用。仕様としては、S e-tron GTに3スポークレザーマルチファンクションパドルシフト フラットトップ&ボトム ステアリングホイールを、RS e-tron GTパフォーマンスに3スポークレザーマルチファンクションパドルシフト フラットトップ&ボトム RSステアリングホイールを配備した。また、デコラクティブパネルはシックなグラファイトグレーで仕立て、オプションとしてバーチナチュラルアンスラサイトやカーボンツイルマット(RS e-tron GTパフォーマンスのみ)、カーボンカモフラージュマット(RS e-tron GTパフォーマンスのみ)を設定。ドアを開くと地面に投影されるプロジェクションライトもアレンジを刷新した。
内装のマテリアルに関しては、環境に優しいマイクロファイバー素材のDinamica(ダイナミカ)とファブリックのCascade(カスケード)を導入。スエードに似た見た目と手触りのDinamicaは、ほぼ半分がリサイクルされたポリエステルで構成し、その一部はアウディが使用したファブリックの残布でまかなう。Dinamicaはシート、ステアリングホイール、バーチャルコックピット上部のフード、ドアミラー、センターコンソール、ウィンドウトリムの37~45%で採用。RSモデルにはディープブラックのDinamicaを配備した。一方、天然繊維のようなファブリックのCascadeは、15%のセルビッチと35%のリサイクルされたポリエステルで生成。環境保護の観点から、染色はしていない。Cascadeはシートやドアミラーになどに採用した。ほかにも、生産廃棄物、ファブリックやカーペットの残布、古い漁網などから100%リサイクルされたナイロン繊維素材のEconyl(エコニール)をカーペットおよびフロアマットに配備している。
▲コクピットはドライバーを包み込むような“モノポスト”デザインを基調に、グランツーリスモらしいスポーティさとラグジュアリー、そして先進技術を高次元で融合。S e-tron GTには3スポークレザーマルチファンクションパドルシフト フラットトップ&ボトム ステアリングホイールを装備する。ハンドル位置は右と左の選択が可能
機能面については、高解像度の12.3インチの液晶メーターパネルを配するアウディバーチャルコックピットプラスを搭載。新たにバッテリー温度、急速充電予測、プレコンディショニング状態など、HV(高電圧)バッテリーに関する情報を提供し、充電可能な最大出力をリアルタイムで表示する。RS e-tron GTパフォーマンスにはRS専用コンテンツを表示するディスプレイを組み込み、MMI経由でホワイトのパワーディスプレイとスピードメーター の選択を可能とした。また、センター部には10.1インチのタッチスクリーンを備え、MMIナビゲーションシステムによるさまざまな機能をシンプルな操作で扱えるように設定した。
シートのアップグレードを図った点も見逃せない。ヘッドレスト下の開口部のデザインはよりダイナミックになり、照明付きロゴを備えた一体型インレイも組み込む。また、S e-tron GTとRS e-tron GTパフォーマンスともに、14段階調整機能付きのスポーツシートプラスを標準装備。RSモデルにはマッサージ機能付きのシートをオプションで用意した。乗員の快適性を高めるパノラマガラスルーフにポリマー分散液晶(PDLC)を組み込んだスマートガラスを採用して、透明から不透明に変化させることを可能としたことも、今回の改良の訴求点である。
▲RS e-tron GTパフォーマンスは3スポークレザーマルチファンクションパドルシフト フラットトップ&ボトム RSステアリングホイールを配備。デコラクティブパネルはシックなグラファイトグレーで仕立てる。ハンドル位置は右と左の選択が可能
▲高解像度の12.3インチの液晶メーターパネルを配するアウディバーチャルコックピットプラスを装備。新たにバッテリー温度、急速充電予測、プレコンディショニング状態など、HV(高電圧)バッテリーに関する情報を提供。RS e-tron GTパフォーマンスにはRS専用コンテンツを表示するディスプレイを組み込む
限定モデルのRS e-tron GTパフォーマンス エクスクルーシブエディションの概要に話を移そう。ベースモデルはRS e-tron GTパフォーマンスで、外装色にはAudi exclusiveスペシャルボディカラーのアラビカグレーメタリックを採用。人気のデイトナグレーパールエフェクトからインスピレーションを受けたこのカラーは、ブラウン、ゴールド、グレーのユニークな組み合わせで、陽に当たると独特の深みと洗練さを兼ね備えた輝きを放ち、他のモデルにはない高級感を際立たせる。また、新しいカーボンカモフラージュマットパッケージを標準装備し、力強い走りのイメージをいっそう強調。足もとには、6ツインスポークRSデザインブラック&マットネオジムゴールドポリッシュト21インチアルミホイール(前9.5J/後11.5J×21、タイヤは前265/35/後305/30R21サイズ)と、アンスラサイトグレーのカラードブレーキキャリパーを配したセラミックブレーキを組み込んだ。
▲アウディRS e-tron GTパフォーマンス エクスクルーシブエディション 価格:3129万円 外装色にAudi exclusiveスペシャルボディカラーのアラビカグレーメタリックを纏う。販売台数は25台限定
▲足もとには6ツインスポークRSデザインブラック&マットネオジムゴールドポリッシュト21インチアルミホイール(前9.5J/後11.5J×21)+前265/35/後305/30R21タイヤと、アンスラサイトグレーのカラードブレーキキャリパーを配したセラミックブレーキを装備
インテリアに関しては、フレッシュなミントグレーとモダンなモラバイオレットがディテールまで配された表情豊かなキャビン空間を実現。シートのセンターパネル、ショルダーアーチ、サイドボルスターにはミントグレーをあしらい、ステアリングホイールのセンターマークやシートベルトに配されたモラバイオレットとのコントラストによって、スタイリッシュな雰囲気を演出する。特別装備のAudi exclusive editionのレザーフリーパッケージを採用したスポーツシートプロには、DinamicaとCascade、アーティフィシャルレザーというサステナブルで高品質な素材を組み合わせ、ここにウォーターフォールステッチを配備。また、ベンチレーションとマッサージ機能を内蔵し、最上級の快適さを具現化した。デコラティブパネルにAudi exclusiveのユーカリアンスラサイトを採用して特別感を際立たせたことも、本限定モデルの訴求点。さらに、機能装備としてオールホイールステアリング/スポーツステアリングやアクティブサスペンション、テクノロジーパッケージを標準装備して、限定モデルならではのスペシャル感を引き立てている。
▲フレッシュなミントグレーとモダンなモラバイオレットがディテールまで配された表情豊かなインテリアを採用。デコラティブパネルにはAudi exclusiveのユーカリアンスラサイトを配する。日本導入モデルのハンドル位置は右