【最新モデル試乗】鮮烈イタリアン造形と先進メカニズムの出会い。アルファロメオ・ジュニアはビビッド&スポーティな斬新SUV

アルファロメオ・ジュニア・コア/価格:6DCT 420万円。48Vマイルドハイブリッドは1.2リッター直3ターボ(100kW/230Nm)とモーター(16kW/51Nm)の組み合わせ。走りはリニア、力強いレスポンスが印象的。パフォーマンスは優秀

アルファロメオ・ジュニア・コア/価格:6DCT 420万円。48Vマイルドハイブリッドは1.2リッター直3ターボ(100kW/230Nm)とモーター(16kW/51Nm)の組み合わせ。走りはリニア、力強いレスポンスが印象的。パフォーマンスは優秀

アルファらしい造形。創業115年の名門の歴史が凝縮

 アルファロメオ待望のニューモデル、ジュニアが日本に上陸した。このところ連続してステランティスの最新ハイブリッド車に乗る機会があったのだが、最も印象的だったのがジュニアだ。

 ステルヴィオ、トナーレに続くアルファロメオの3台目のSUVとなるジュニアは、4195×1780×1585mmの日本でも扱いやすいコンパクトなサイズ。アルファらしいスポーティなキャラクターが与えられている。パワートレーンはIbrida(イブリダ)と呼ぶMHEVとElettrica(エレットリカ)と呼ぶ完全BEVという2種類の電動タイプをラインアップする。価格レンジは420万円から556万円。日本デビューの2025年6月24日は115年の歴史を誇るアルファロメオがイタリアのミラノで創業した日である。

デビュー

イメージ

 アルファで「ジュニア」といえば、G・ジウジアーロが造形した美しいフォルムと優れた性能を誇るジュリア・スプリントGTの系譜を受け継ぐ、1960年代のGT 1300ジュニアを思い出す人も多いだろう。

 スポーツカーの精神を継承したコンパクトSUVとして開発された21世紀のジュニアは、当初はミラノの名称で発表された。だがほどなくジュニアに改名。結果オーライだと思う。

 実車に触れると、コンパクトながら存在感の強い、凝縮感のあるスタイリングが印象的だ。アスリートをイメージして描かれたという筋肉質のフォルムや、3眼ヘッドライトと進化したトライローブ(三つ葉)形状のフロントグリル、大胆にデザインされた各部が目を引く。

このところ訴求力のあるブランドたちは、より自社のアイデンティティを強調している。その中でもこれほど大胆なことをやってのけられるのはアルファロメオくらいだろう。

グリルimage

インパネ

 そんな外見と呼応するかのように、インテリアもまた印象的に仕立てられている。独特のマテリアルやデザインも、いかにもアルファロメオらしい雰囲気を感じさせる。

 試乗したハイブリッドのコアは、最も価格の安いグレードだが、さすがはアルファ、それを感じさせないクオリティが確保されていた。これは「お買い得だ」と感じた。

 ドライバーを中心にして設計されたコクピットは、最新の技術を駆使して素早く視認して直感的に操作できるようレイアウトされている。メーター類はモータースポーツのDNAを感じさせながら高い視認性を確保したテレスコープデザインを採用。メーターは往年のスポーツカーのように奥まった位置にある。

前シート

後シート

 運転席と助手席はあえてタイトにしつらえられていて、高めに設定されたセンターコンソールの延長上に置かれた10.25インチのタッチスクリーンは、ホーム画面を好みにカスタマイズ可能。よく使う機能に素早くアクセスできる。エアコン吹き出し口やメーター、コンソール回りにはアンビエントライトが配されている。

 リアドアノブはピラーにレイアウトされた縦長のタイプ。このサイズと外見の印象からするとリアシート空間は狭いのかと思いきや、成人男性が座るにも十分な広さが確保されていた。居住性は上々。

 ハンズフリー電動テールゲートを開けると、MHEVで415リッター、BEVで400リッターのラゲッジ空間が用意されている。容量はクラストップ級、予想よりもだいぶ広い。これならアウトドアが趣味のユーザーも満足できるに違いない。

アルファらしいビビッドで痛快な走りを実現。こんなクルマを待っていた!

 試乗したコアは、1.2リッター直3ターボ(100kW/230Nm)にモーター(16kW/51Nm)を組み合わせた48VマイルドHV。トランスミッションは6速DCTが採用されている。

 ドライブすると、グループ内のBROS車たち以上に俊敏さが際立っていた。パワートレーンは共通でもフィアットやプジョーとは、明らかに異なる。より滑らかで軽やかで走りが楽しい。パドルシフトを駆使してマニュアル感覚の走りも存分に楽しめた。

 アクセル操作に対してリニアに力強くレスポンスし、伸びやかに加速するのは好印象。ステアリングの操舵力は軽く、回頭性は抜群。どこでもクイックなハンドリングを楽しめた。これぞアルファの醍醐味にほかならない。

リア走り

エンジン

 DNAドライブモードセレクターの選択で走りのキャラクターがわかりやすく変わるとともに、メーターパネルの表示やアンビエントライトの表示色が変わる演出も魅力的だ。

 Nは最適なバランスでより快適に乗れるNaturalモード、Aはエコモードに相当するAdvanced Efficiencyモード、本命ともいえるD、Dynamicモードを選択すると、瞬発力が増してキビキビと走れるようになる。エキサイティングな走りがジュニアによく似合う。

 もうひとつ印象的なのが、どのモードでもモーターがかなり頑張っていることである。低速で発進~停止を繰り返す状況では、マイルドハイブリッドながらモーターのみでの走行が可能となり、エンジンの負担を軽減して燃費の向上を図る。その一方で、Dynamicモードでは積極的にモーターがアシスト、より鋭い発進加速とアグレッシブな走りに寄与している。

メーター

空調ルーバー

 欲をいうと、エンジンフィールにはもう少しプラスアルファがほしいと感じた。走りがアルファらしく刺激的だからこそなおのことだ。やはり3気筒では限界がある。エグゾースト系かスピーカーで何か演出してくれるとうれしいのだが。

 今回は都内の一般道を中心に走った。すでにレポートしたように快活なドライブフィールに加えて、コンパクトなサイズと適度に高めのアイポイントで機動力は抜群。市街地であっても十分にドライビングを楽しめた。足回りはそれなりに引き締まっているが、乗り心地はそれほど硬さを感じない。この点もよかった。

フロント01

フロント02

 次回はワインディングロードをぜひとも走ってみたいと思う。さぞかし痛快に違いない。ジュニアは、自ら「ドライビングの歓びと日常における実用性を高次元で両立した、アルファロメオの新たな時代の幕開けを象徴する1台」と謳っているが、まさにそのとおりだ。

 こんなアルファを待っていたという人は多いはず。コンパクトでオシャレで走りがよくて装備も充実したニューモデルは、多くのユーザーが「大好き」になれるクルマ。新たなアルファ伝説が生まれそうだ。

エンブレム

ラインアップ

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