フォーミュラへとマシンチェンジした今シーズンのKYOJO CUP、シーズン序盤はフォーミュラの経験が豊富な下野璃央選手と翁長実希選手、そして昨年チャンピオンの斎藤愛未選手、この3名を中心にトップ争いが展開されてきた。しかし、シーズンの折り返しとなったRd.3では土曜のスプリント、日曜のファイナルともに優勝こそポイントリーダーの下野選手が飾ったが、マシンへの習熟が進んだ関係もあって、若手ドライバー(4輪のレース経験が少ないドライバー)の台頭が目立つ週末となった。
予選ではこのレースウィーク中に19歳の誕生日を迎えた白石いつも選手が2位のタイムを記録した。F4経験があり、今シリーズは初戦から安定した強さを発揮する下野選手を上回るタイムで関係者を驚かせた。
スプリントでレース(10周)は下野選手、平川真子選手といったメンバーが混戦を潜り抜けて若手ドライバーよりも前でチェッカーを受けたが、白石いつも選手、富下李央菜選手、佐々木藍咲選手、佐藤こころ選手の若手同士の熱い表彰台争いも大いに観客を沸かせていた。
土曜日のスプリントレースは、ポールスタートの斎藤選手がリードを広げるレース展開になっていたが、ウエットに変化した最終コーナーでクラッシュ。後続選手も数名がスピンし、この影響で赤旗中断となった。そして、ギャップがゼロとなったリスタート直後の1コーナー、3台でのバトルを上手く制したのが富下選手だった。
レース終盤の平川選手とのバトルは、平川選手が抑え切ったが1コーナーでの3台バトルで、これまで予選やテスト走行などで一発の速さは見せていた富下選手が「バトルでも強い」という姿を見せたスプリントとなった。
そしてこの週末、富下選手以上に注目を集めた若手ドライバーは佐々木藍咲選手だった。マシンに合ったドライビングスタイルを発見した彼女は、フリー走行でトップタイムを記録するなど、好調を見せていた。
5番グリッドからスタートしたファイナル(12周)ではオーバーテイクショーを披露し、レース序盤で若手集団の先頭に立ち3位となる。ペースも速く差が開いていた平川との車間をみるみる詰め、レース中盤で2位へとポジションを上げた。 トップ独走状態だった下野選手には届かなかったものの、佐々木選手はレース中のベストタイムでは下野選手を上回っており、偶然ではない速さを見せたレースとなった。
速さだけでなく、混戦での強さも身に着けてきたKYOJOの若手ホープたち。残り2ラウンドの表彰台争いの役者が増えたことは間違いない。シリーズ後半戦、どのような役者が表彰台争いのドラマを演じるのか?
誰にも予想が付かないが、見ていてエキサイティングするのは間違いないだろう。
