ITSを利用して自転車の出会い頭事故を避ける「パナソニックのB2X」を体験

ITS技術を搭載したパナソニックの近未来型自転車

 高性能ナビ「ストラーダ」やポータブルナビ「ゴリラ」でお馴染みのパナソニックは、ジャパンモビリティショーで「ITS搭載サイクルモビリティ(B2X)」を発表した。ITS(高度道路交通システム)を利用して、自転車とクルマの出会い頭の衝突事故を避ける技術である。

右前方の交差点付近にクルマ走行しているが、自転車からはまったくわからない。ITS通信でクルマが接近していることを知らせてくれる

 パナソニックはパナソニック・サイクルテック社を通じて高品質オーダーバイク、XEALT(ぜオルト)を発売している。電動アシスト自転車で軽快に移動していると、時速20㎞/h程度の速度域には簡単に到達する。

クルマから「お先にどうぞ」のメッセージが送られてきた

 内閣府の発表によれば、自転車とクルマの事故で死者・重傷者は5425名(令和2年)を数えている。そのうち、「出会い頭」に相当する事例は2966名、55%になる。内閣府は「駆動補助機付き自転車」で事故に遭う83%が65歳以上だと指摘している。電動アシスト付き自転車に乗る高齢者が、出会い頭事故に遭遇しているケースが多い状況が推定できる。

 パナソニックのITS搭載サイクルモビリティ(B2X)は、こうした実情の改善を図ることに貢献する。クルマが発信するITS信号をキャッチし、出会い頭事故の危険があれば、自転車に乗っている人にアラームを送る。展示車はスマホが装備されており、スマホを通じてITSの信号をキャッチし、危険を知らせる仕組みだった。クルマからの信号を受け取ったことに対する返礼信号用スイッチが用意されていた点に、メーカーの優しさが感じられた。

 ITSに使われている電波は700MHz帯と5.8GHz帯の2種類がある。パナソニックが利用しているのは700MHz帯。これはすでにトヨタ車などが利用している周波数だという。この周波数は電波が回り込みやすい特製を持ち、交差点など見えない方向から送出された信号(見通し外通信)でもキャッチしやすい。

ストラーダをはじめとするパナソニックのクルマ用技術を装備して展示

 モーターショーの枠組みを「モビリティショー」に拡大した成果が実感できる展示内容だった。

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