1973年式ポルシェ911T 1964年から73年までの初期型911はスレンダーなボディから“ナロー”と呼ばれる。標準モデルはT/E/Sの3グレード構成。エンジンは2.4ℓの空冷フラットシックスを搭載
ポルシェ911の長い歴史の中でも、デビューから1973年までに生産された「ナロー」は格別の評価を集めている。現在に続く911の原点であると同時に、軽量・コンパクトボディと、シャープな味わいの空冷フラット6により、最新911にはない「ライトウェイトスポーツ感覚」が味わえるからだ。とくに72-73年モデルは完成度の高さで定評がある。希少な世紀輸入のTグレードをテキストに、その詳細を写真とともに紹介しよう。
リアスタイル/ナロー時代の911は軽量で小柄なボディと、シャープな空冷フラット6の組み合わせ。最新の911とはひと味違う、ライトウェイトスポーツ感覚の走りが味わえる。ボディタイプはクーペとセミオープンのタルガが選べた。
フロントエアダム/フロントエアダムは高速域の安定性を高める空力アイテム。取材車は本来はSグレード用アイテムを装着
ライト回り/丸型ライトは現在まで続く911のアイデンティティ。黒い空調ルーバーは73年式の特徴
リアルーバー/エンジン冷却ルーバーはブラック仕上げ。排気量を示すエンブレムを装着する
サイドシル/正規輸入車のサイドシルはクロームカバー仕上げ。ボディサイドのPORSCHEストライプは新車時のopアイテム
ホイール/ホイールは前後とも15インチでリム幅は6J。フックス製の超軽量鍛造構造。純正タイヤサイズは195/70R15サイズだった
エグゾーストエンド/排気エンドパイプは1本出し。排気音は独特の乾いたサウンド
エンジン/アメリカ&日本仕様の2.4リッターTグレードは、燃料噴射システムを装着。取材車は6プランジャー方式
インパネ/ドライバー正面に5連メーターをレイアウト。インパネは1996年の空冷最終型までデザインは基本的に共通。運転姿勢を決めるとヘッドライトの峰が見える
フロントシート/シートは見た目以上にサポート製良好。座り心地は意外にソフト。写真のタータンチェック柄はオリジナル
リアシート/後席シートバックを前倒しするとラゲッジスペースとして使える
メーター/タコメーターを中央に配置する伝統のレイアウト。速度計は250km/hまで刻印
シフトレバー/トランスミッションは5速AT。72年モデルから1速が左上の一般的なシフトパターンを採用
ペダル回り/クラッチとブレーキは床から生えるレイアウト。ノンサーボ式のブレーキは強力無比
前席中央/前席中央部にハンドスロットルとヒーター調整レバーをレイアウト
ラゲッジスペース/フロントのトランク内にスペアタイヤと容量62リッターの燃料タンクを配置
新車時価格:485万円
全長×全幅×全高=4127×1610×1320mm
ホイールベース=2271mm
車重=1050kg
エンジン=2341cc空冷水平対向 6気筒OHC1
最高出力=140ps/5600rpm
最大トルク=20.5kgm/4000rpm
トランスミッション=5速MT
サスペンション=前ストラット/後セミトレーリングアーム
駆動方式=RR
乗車定員=4名