先日、マセラティのメディアラウンドテーブルというイベントに参加してきました。自動車メディア業界にいる若手を対象に、マセラティというブランドを知るイベント……そんな趣旨で開催されたのですが、マセラティだけでなくイタリアの自動車、そして世界のハイブランド像を知るとても素敵な機会となりました。
これまで自動車メディアを中心に活動してきた筆者ですが、正直マセラティに関してはあまり触れる機会がありませんでした。筆者がいままでマセラティに持っていたイメージは、色気やデザイン性を重視したモデル展開を届けているといったものでした。今回のイベントでこれらのイメージにプラスし、新たなイメージができました。それはGTなキャラクターのクルマ作りをしていることです。GT=グランツーリスモとは、長距離を快適に楽しく移動できる高性能、そんな意味を持っています。4シータークーペのグランツーリスモだけでなく、レヴァンテやグレカーレといったSUVモデルもGTを意識したクルマ作りをしているそうです。
今回のイベントの説明では「GTというジャンルはマセラティが開拓した」という内容がありました。試乗する機会では今回はマセラティの原点ともいえるグランツーリスモのオープンモデル、グランカブリオに試乗しました。3ℓのV6ツインターボエンジンは550㎰という最高出力を発生しますが、実際に乗ってみると想像以上に乗り心地がよく、思ったほどエンジンサウンドの主張もありません。まさに王道を行くGTといった乗り味になっていました。
そして、これまでのイメージに上書きされたのがデザインです。マセラティは独特の上品な色気を放つデザインを持っているとこれまでも感じていましたが、時代を超えるタイムレスなデザインが取り入れられているのです。ここでいうタイムレスとは、流行にとらわれない、トレンドに左右されないといった意味です。3本槍のブランドロゴであるトライデントマークが掲げられたフロントグリルに、フレアしたフェンダーなどエクステリアデザインの特徴は歴代モデルにも共通しているもので、流行に左右されているわけではありません。
そして、個人的にタイムレスなデザインを顕著に感じるのはインテリアです。インパネには、いま流行のインテリアを覆うようなモニターパネルなどはありません。少し時代を感じさせるデザインのアルミペダルも印象的でした。また、センターには表示デザインがアナログ調にも変更できる時計がレイアウトされており、このあたりにタイムレスなデザインを強く感じました。
長い歴史を誇るマセラティが絶えず目指してきたのはラグジュアリーブランドであることです。他の高級ブランドとどう違うのか? それは性能だけに特化せず、プラスαの喜びや楽しみのための価値実現を追求している点です。長年の歴史に由来するブランドの伝統や独自性、息づくクラフトマンシップ、すべてがラグジュアリーブランドとしてのマセラティのブランド価値を作り上げています。
改めてマセラティのモデルを詳細に見てみると、細部に至るまでブランド性が息づいていると実感しました。今回のイベント参加は、各メーカーのブランド哲学についていっそう深く知りたいと思った時間でもありました。
