“ヨンク”に関しては一般的なクルマ好きよりはこだわりを持っている。近年はクラシックカーを中心にイタリア車と英国車のラグジュアリーブランドを語る機会が多いが、2000年初頭までは背の高いクルマをメインに仕事していた。
その背景には、80年代後半まだ学生だった頃『4×4マガジン』という雑誌でバイトしていたことある。要するに根っこが「ヨンク好き」ということだ。アルバイトなので読者ハガキのアンケート整理がメインだったが、撮影には同行させてもらっていた。
当時の王様はランクル60。それを中心に、パジェロやビッグホーン、サファリ、ハイラックスサーフなどが個性をアピールしていた。その当時の足はSJ30型ジムニー。とにかく可愛いクルマだった。
90年代に自動車雑誌業界に入ると、ヨンク好きはほとんどいなかった。ヨンク専門誌はいくつかあったが、メインストリームではなかったと思う。雑誌編集者もモータージャーナリストもスポーティなクルマに憧れてこの世界に入ってきた人がほとんど。ZやGT-R、ハチロクや「スターレットでサーキット走っています」みたいな人ばかり。その他は、ポルシェやフェラーリを崇拝していた感じだ。
そんな環境だから2000年に『アメリカンSUV』という雑誌を編集長として立ち上げたが、あまり注目されなかった。そもそもまだSUVというワードを多くの人が知らなかった。日本ではそれらをRVやヨンク、フォーバイフォーと呼んでいた。ただ、今回特集でレッツゴー4WD編集長にご登場いただいたが、その辺の古株さんたちは当時にことを覚えていてくれる。『アメリカンSUV』を買って勉強してました、なんて言葉はお世辞でもうれしい。
なので、2021年にRAV4アドベンチャーのアメリカ仕様をカスタムしたときは楽しかった。オールペンして、車高上げて、フォグランプを9個付けて、ルーフラックにラダーを装着して、なんて感じに手を入れ、最終的に構造変更の許可を得るまでに13カ月かかった。まぁ、その分思い残すことのないカスタムが出来上がったのだから満足。16媒体くらいから取材を受けたし、オフ会にも積極的に参加した。
さてさて、それはともかく、今号は“本格ヨンク”をフィーチャーした。とくにランクル250とジムニーをメインに据えた。もちろん、ランクル70や300がもっと手軽に所有できる環境であれば、それらを取り込んだのはいわずもがな。なんなら70中心で構成しただろう。70は発表の日にちゃんとディーラーまで買いに行ったんだけどね、やっぱ撃沈した。コーヒー飲んで世間話して終了だ。いったいどうやったら手に入るのか、誰か教えてほしい。KINTOじゃダメなのよ。こちとらバリバリにカスタムする予定なんだから。
まぁ、いずれにせよ本格ヨンクのブームが来たのは個人的にうれしい。その昔は大きくて邪魔扱いされていた。アウトドアブームなんてものもなかったから、「キャンプに行こう!」なんて誘うと変な目で見られた。それがいまじゃグランピングなんて言葉まで一般的になっている。施設まで整っちゃって。
ただまぁ、それもブームだからいつ終わるかわからない。日本人は流行に敏感に反応する。では次の流行はナニ? 個人的には流行は関係ないけどね。その時好きになったクルマに乗れれば満足。でも70だけはいまだ片思い継続中だ。
