【表紙のクルマの物語】トヨタ・ランドクルーザー250(2025年11月号/岡本三紀夫)

250は歴代ランクルが継承する「価値の原点」に回帰したヒット作

 最新のランドクルーザー(ランクル)としてラインアップに加わった250は、圧倒的な人気を獲得している。従来からのランクル信奉者はもちろん、初めての“ヨンク”として購入するユーザーも多いと聞く。20代から40代までの比較的若い層に絶大な支持を受けているのが特徴で、販売は、中間のVXグレードが約80%を占める。

 250の魅力は、その本物感。ランクルは1951年に登場したトヨタBJをルーツとする70年以上の歴史を誇るヘビーデューティモデルだ。累計生産台数は1200万台以上。世界中から「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」として絶大な信頼を獲得している。そのタフさと悪路走破性は、ヨンクの頂点。

 まさに“本格ヨンク界のキング”と表現できる。視点を変えれば、オフロードのスーパーカーと表現してもいいのではないか。

 250は、ランクルの中心として、伝統を大切にしながら未来をしっかりと見据えて開発された意欲作。すべてがランクル本来の姿に“原点回帰”した本流モデルだ。基本骨格にはフラッグシップの300と同じGA-Fプラットフォームを採用。スタイリングは機能的にして、誰もが“カッコいい”と感じる造形に仕上げている。

 運転して印象的なのは、ガッチリとした信頼感とフレンドリーさが共存している点だ。オンロードでは、実にスムーズで乗り心地は良好。大柄なボディながら取り回し性に優れるのもうれしい。

 本格ヨンクの多くは、圧倒的なクロスカントリー性能と引き換えに、何らかのマイナス面を抱えているものだが、250にはそれがない。

 もちろんその走破性はクラス最強。そのプロスペックの実力は、まさにスーパーだ。

 250を含めランクルは、日本のモノづくりの一つの頂点であると同時に、行動派クルマ好きの終着点といえる。ジムニーとともに日本の宝物と呼ぶにふさわしい。

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