プレリュードが復活する。歴代モデルをリアルタイムで体感した身としては素直にうれしい。
新型はホンダ自慢のe:HEVシステムを搭載した3ドアクーペ。スペシャリティカー本来のデザインを楽しむクルマであると同時に、メーカー自身が「スポーツカー」と呼ぶ、走りを究めたモデルでもある。何しろシャシーは、あのシビック・タイプR譲り、電動車ながらエンジンの存在を明確に主張する「S+シフト」をホンダ車初搭載している。
先行情報サイトでF1パイロットの角田選手がスタイリングを握る動画を見たが、その素晴らしいサウンドに魅了された。
今号の表紙は、新型と3代目(1987年発表)が並んでいる。両車にはほぼ40年もの時間の開きがある。当然ながら、その造形テーストはまったく異なる。
新型は量感豊かなグラマラスフォルム。しっかりと4隅に踏ん張ったタイヤと滑らかなルーフラインが印象的だ。
一方3代目は端正なノッチバック形状と、リトラクタブル式ヘッドライトが目を射る。ピラーの細さこそ時代を感じさせるが、フォルムは現在でも新鮮。素直に美しい。
新型は当初から「プレリュード」として開発されたわけではない。コンセプトやスタイリングが固まってきた段階で「プレリュードの名がふさわしい」という声が上がり、名車復活が決まったという。若い人には新鮮で、ベテランには懐かしいネーミングの選択は大正解だろう。
プレリュードは歴代それぞれが、素晴らしいヒストリーを持ち、ユーザーに感動を与えたモデルだ。ネーミングの継承は、その歴史を受け継ぐことを意味する。もし新型が別の名前のブランニューモデルとして誕生していたら、これほどの注目を集めなかったのではないか。そんな気がしている。
プレリュードは、一貫してホンダらしいクーペライフの提案車だった。新型はどんな新しい世界を見せてくれるのだろう。大いに期待している。