米国連邦議会上院は5月22日、カリフォルニア州が定めている「2035年までにガソリン車の販売を終了する」という規制を無効にする決議いいを行った。カリフォルニア州は2022年に「アドバンスト・クリーンカー2(ACC2)」を定め、2035年までに新車販売の100%をゼロエミッション車(ZEV=BEV、PHEV、FCEV)にする政策を打ち出した。カリフォルニア州の規制は他のニューヨーク州など11州も採用し、影響力が大きい。
GMやトヨタが加盟する自動車イノベーション連動(AAI)は、カリフォルニア州の規制について「販売義務は達成不可能」と主張してきた。
カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事はこの決定に怒り心頭で「上院の採決は違法だ。トランプ政権の共和党は、再び米国を排出ガスで汚すことになる」とコメントしている。また、5月23日には、カリフォルニア州はニューヨーク州ら10州と連携して「クリーンカー推進のための11州連合」を作ることを明らかした。連邦政府が反対するなら、11州は独自にZEV普及のための環境を整える、という意思表示である。
トランプ大統領は6月12日、ACC2を含むいくつかの規制無効化に署名した。トランプ大統領は「各州でそれぞれの規制を制定するのは現実的ではない」としている。たとえば、大気はカリフォルニア州だけで管理できるものではないので、合衆国全体で統一して管理すべき、という主張である。
AAIのジョン・ボゼーラ会長兼CEOは「ユーザーは多様な選択肢を求めている。EV販売義務化が米国の自動車産業に深刻なダメージを加える前に撤廃したことを高く評価する」といった趣旨のコメントをしている。
現在、米国の新車マーケットでBEVの販売比率(2025年第1四半期)は約11%。BEV普及が進むカリフォルニア州の場合は約21%である。注目は、カリフォルニア州で販売されているZEVは、米国全体の約29%を占めているのである。
大統領の決定で、カリフォルニア州のZEV政策はどのように進展していくのか。カリフォルニア州らがまとめた「推進連合」が存在感を発揮して、米国のZEVの道を開拓していくのだろうか。