トランプ関税日米交渉合意。自動車の相互関税は15%でとりあえず決着

トランプ関税日米交渉合意。自動車の相互関税は15%で決着

 

 日米両政府が交渉を進めていた関税交渉が7月23日に新な合意に達した。

 米国が取引国に課する相互関税は15%、自動車関税は12.5%で既存の2.5%と合わせて15%になる。これまで25%の相互関税が課せられていたので、日米交渉で日本は大きな成果を得たといえる。しかし、鉄鋼・アルミニウム製品には50%の関税が残された。

 自動車の関税に関しては、英国が10%で合意しているが、こちらは年間の輸出台数が10万台に制限されている。日本の場合、英国以上の税率になるが、輸出台数に制限は設定されていない。2024年の実績で日本からは約162万台を輸出している。日本は1980年代に自動車の対米輸出を「自主規制」してきた経緯があるだけに、台数に制限がかけられなかった点は大きい。

日産が米国に持つスマーナ工場の生産現場

 関税が15%に引き下げられた一方で、日本は最大5500億ドル(約80兆円)の投資支援枠を設定し、対米直接投資を拡大することを約束した。JETRO(日本貿易振興機構)によれば、2024年に日本が行った米国直接投資高は約5兆7000億ドルで6年連続のトップだった。2位のカナダが約8100億ドルだったから、日本からの対米投資は圧倒的である。

 この合意を受けて、株式市場は自動車関連株を買いに入り、トヨタ自動車はこの日だけで時価総額が4兆円ほど増大した。日経平均株価は4万1000円に達し、1年ぶりの高水準になった。実は関税合意の情報とあわせて「石破茂首相が退陣する」という情報が流れ、現在の緊縮財政が方向転換するのではないかという読みもあった。

 8月1日の交渉期限を前に決着したが、もともとは2.5%だった関税が12.5%追加されたことになる。自動車業界では好感されている結果になったが、米国内での販売価格に対する影響などはどうなるのか。新規税率のもとでの販売状況にも注目が必要だ。

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