三菱自動車がインドネシア国際オートショー2025において「デスティネーター」の車名を冠した新世代ミッドサイズSUVを初公開し、販売を開始。“The Confidence Booster for Energetic Families(いきいきとした家族が自信を持って一歩踏み出せるよう後押しするSUV)”をコンセプトに、洗練された本格的なSUVデザインや乗る人すべてが心地よく過ごせる3列シートレイアウトの上質な室内空間、力強く爽快な加速性能とさまざまな路面や天候での安全・安心の走破性を実現
三菱自動車は2025年7月23日から8月3日にかけて開催された第32回インドネシア国際オートショー(The 32th GAIKINDO Indonesia International Auto Show)において新世代ミッドサイズSUVの「デスティネーター(DESTINATOR)」を出展し、合わせて同市場での販売を開始した。
クロスオーバーMPVの「エクスパンダー」やコンパクトSUVの「エクスフォース」に続く、インドネシア発の世界戦略車の第3弾となるミッドサイズSUVの「デスティネーター」は、“The Confidence Booster for Energetic Families(いきいきとした家族が自信を持って一歩踏み出せるよう後押しするSUV)”をコンセプトに、洗練された本格的なSUVデザインや乗る人すべてが心地よく過ごせる広々とした3列シートレイアウトの上質なキャビン空間、力強く爽快な加速性能とさまざまな路面や天候での安全・安心の走破性を実現したことが特徴。グレードは上位よりUltimate、Exceed、GLSをラインアップし、車両価格は3億8500万ルピア~4億6500万ルピア(約347~420万円)に設定する。ちなみに、車名のデスティネーターはドライバーや一緒に過ごす大切な家族が新たな目的地=destinationへ踏み出す後押しをしたい、という想いから命名している。
▲デスティネーターは“The Confidence Booster for Energetic Families(いきいきとした家族が自信を持って一歩踏み出せるよう後押しするSUV)”をコンセプトに開発。写真は充実装備のExceedグレードで、ボディカラーはブレイドシルバーメタリック
エクステリアについては、デザインコンセプトに“GRAVITAS&DYNAMISM”という2つのキーワードを掲げる。圧倒的な存在感と重厚感を漂わせる“GRAVITAS”は、大地をしっかりとつかむ安定感のあるスタンスと3列目シートまで快適に座れる広々としたキャビンを融合したプロポーションで表現。また、フロントノーズは水平基調としながら豊かな厚みを持たせ、堂々とした佇まいを創出する。さらに、すべてのピラーをブラックアウトしてキャビンを滑らかな面で包み込むことで、広々とした室内空間をよりいっそう強調した。一方、エネルギーと躍動感に満ち溢れる“DYNAMISM”は、悪路での優れた走破性と機動性をもたらす高い最低地上高と18インチの大径タイヤ(225/55R18)によって表現。大径タイヤはアスリートの鍛え抜かれた筋肉のように張り出した彫刻的な前後フェンダーフレアによって包み込み、逞しさとSUVとしての力強い走りを予感させる。さらに、フロントとリアの大型スキッドプレートとサイドプロテクターによって、プロテクト感と堅牢性を演出した。
各部のデザインも徹底してこだわる。フロント部は力強いパフォーマンスと人とクルマを守る安心感を表現したデザインコンセプト“ダイナミックシールド”を採用し、パワートレインのパフォーマンスを象徴するフロントグリルを、左右バンパーでプロテクトする造形と立体的に一体化。また、フロントグリル、LEDヘッドランプ、バンパーを水平・垂直基調のデザインで構成することで、力強さと安定感をさらに強調する。さらに、フロントグリル自体はハニカム形状のインナーグリルを透明なアクリルのアウターグリルで覆う立体的なデザインとし、高級感と先進性を創出した。一方でリアビューは、往年のパジェロが装着していた背面式スペアタイヤをモチーフとした六角形のデザインコンセプト“ヘキサガードホライズン”を配置し、SUVらしい走破性の高さを表現。また、テールゲートを張りのある豊かな面構成とすることで高い実用性を強調するとともに、存在感を際立たせる。フロントのデイタイムランニングランプとリアのテールランプのLEDをT字型に発光させ、合わせてランプの造形を縦基調として、芯のある力強さを具現化したこともアピールポイントだ。ボディサイズは全長4680×全幅1840×全高1780mm/ホイールベース2815mm/トレッド前1580×後1590mmに、車重は1495kgに設定。また、アプローチアングルは21.0度、デパーチャーアングルは25.5度、ランプブレークアングルは20.8度を確保し、さらに最小回転半径はアセアン地域の街中で頻繁に見られるUターンでも取り回しの良い5.4mを実現している。
コクピットには水平基調のインストルメントパネルを配し、前方の視認性を高めるとともに、悪路走行時の車体姿勢の変化をつかみやすくアレンジ。また、直感的な操作を実現する12.3インチのスマートフォン連携ディスプレイオーディオ(SDA)と8インチデジタルドライバーディスプレイを一体化した大型パネルを採用する。SDAにはパジェロの3連メーターをオマージュしたマルチメーター表示など多彩なコンテンツを表示し、ドライブの楽しさを引き上げた。インストルメントパネルからドアトリムまでスムーズに繋がるダイナミックな形状に仕立てて空間の広がりを表現するとともに、高級感のあるソフトマテリアルで包み込むことで、上質さを演出したことも訴求点である。
キャビン空間は全席でくつろげるゆとりのある3列シートレイアウトを配したことがトピック。前席シートは広々とした頭上空間を確保するとともに、シートをホールド感のある造形とすることで座り心地を向上。また、後ろに振り向きやすいよう肩口の厚みを調整し、車内でコミュニケーションが取りやすくなるよう配慮する。一方、2列目シートは頭上に加えて肩回りのスペースにもゆとりを持たせると同時に、最大で100mmの前後スライド機能を備えることで快適性を向上。そして3列目シートは、高いヒップポイントと十分なニールームを確保し、ロングドライブでも気にならないゆとりある足元スペースを実現した。
ユーティリティの面では、日常生活から遠出まで全席で快適に過ごせるよう、使い勝手を考慮した便利な収納スペースを用意。ドアトリムやフロアコンソールなど各所にドリンクホルダーを設置し、さらに運転席と助手席の背もたれの裏側にタブレットなどが置ける折りたたみ式のシートバックテーブルやポケットを配備する。また、Type-AとType-CのUSBポートを各列に用意するなど、各席で快適に過ごせる装備を充実させ、ロングドライブでもリラックスして過ごせるように配慮した。明るく開放的な室内空間を実現するパノラマサンルーフや、夜間のドライブを彩る64色のアンビエントライト、ヤマハと共同開発した計8個のスピーカーによって構成されるオーディオシステム「ダイナミックサウンドヤマハプレミアム」などを配備して乗員の快適性を高めたことも、装備面でのアピールポイントである。一方、ラゲッジルームは十分な広さを確保し、3列目シートを使用している場合でも飲料水のガロンボトル4本などを積載することが可能。また、多彩なシートアレンジを採用し、2列目には4:2:4分割で前倒しできるシートを、3列目には5:5分割で片側ずつ前倒しできるシートを採用した。
パワートレインについては、実績のある4B40型エンジンをベースに、水冷インタークーラーの採用や、高膨張比サイクル(アトキンソンサイクル)化を実施した1499cc直列4気筒DOHC16V・MIVECインタークーラー付ターボチャージャーエンジンを搭載。最高出力は120kW(163ps)/5000rpm、最大トルクは250Nm/2000~4000rpmを発生する。また、トランスミッションには高効率CVT(Dレンジ変速比2.631~0.378、最終減速比6.386)を組み合わせて前輪を駆動し、ドライブモードとしてノーマル/ウェット/グラベル/マッド/ターマックという5モードを設定。路面状況に応じて選択できるドライブモードでは、前左右輪の駆動力を調整して高い操縦性を実現するアクティブヨーコントロール(AYC)、タイヤのスリップを制御するトラクションコントロール、エンジン制御、パワーステアリング制御を統合制御することで、さまざまな走行および路面に対応させた。
▲パワートレインには実績のある4B40型エンジンをベースに、水冷インタークーラーの採用や高膨張比サイクル(アトキンソンサイクル)化を実施した1499cc直列4気筒DOHC16V・MIVECインタークーラー付ターボチャージャーエンジンを搭載。最高出力は120kW(163ps)/5000rpm、最大トルクは250Nm/2000~4000rpmを発生
シャシーに関しては、前マクファーソンストラット式/後トーションビーム式で構成したうえで、アセアン地域の路面状況を再現した国内のテストコースでの走行試験に加え、現地での評価を繰り返してチューニングを施すことで、荒れた路面やうねりのある路面でも快適な乗り心地を実現する。フロントではキャスタートレールの最適化とステアリングギヤ比のクイック化により、操舵感と直進安定性を向上。一方でリアではサスペンションブッシュとショックアブソーバーのシリンダーサイズの最適化によって、操縦安定性を大きく引き上げた。
先進安全運転支援システムとコネクティッド機能の拡充も注目ポイント。先進安全運転支援システムでは最新の「Mitsubishi Motors Safety Sensing」を採用し、先行車の加速・減速・停止に追従走行して設定した車間距離を保ちながら走行できるレーダークルーズコントロールシステムや、衝突被害軽減ブレーキシステム、後側方車両検知警報システム、後退時交差車両検知警報システム、オートマチックハイビーム、先行車発進通知、マルチアラウンドモニターなどの機能を装備する。また、衝突時のエネルギー吸収とキャビンの変形抑制を両立させた衝突安全強化ボディに加え、6つのSRSエアバッグを配備することで、高い衝突安全性能を確保した。一方でコネクティッド機能については、もしものときに乗員を守るため、エアバッグが展開した際に自動的にコールセンターに通報する機能や、事故や故障時にボタンひとつでコールセンターに救助を依頼できるSOSコールを設定するなど、コールセンターサポートを充実化。さらに、スマートフォンと連携した操作では燃料の残量や自車位置の確認ができるほか、エアコンの作動が可能となり、利便性をより高めている。
なお、デスティネーターはミツビシ・モータース・クラマ・ユダ・インドネシア(西ジャワ州ブカシ県)において生産を行い、インドネシアでの販売を皮切りに、ベトナム、フィリピンなどのアセアン地域や、南アジア、中南米、中東、アフリカにも順次展開を拡大する計画。日本への導入に関しては、現在のところ正式なアナウンスはない。