【最新モデル試乗】ベストセラー・メルセデスにお買い得モデル登場。900万円でも欲しいと思わせる、GLC220dクーペのコストパフォーマンスとは!?

メルセデス・ベンツGLC 220d 4マチック・クーペ コア。価格/9SATC 866万円。GLC220d Core(コア)は通常の5ドア(819万円)とクーペ(866万円)に設定。価格は標準220d比、それぞれ57万/50万円リーズナブル。2リッターディーゼルなどメカニズム面は共通仕様。写真はAMGラインPKG(75万9000円)装着車

メルセデス・ベンツGLC 220d 4マチック・クーペ コア。価格/9SATC 866万円。GLC220d Core(コア)は通常の5ドア(819万円)とクーペ(866万円)に設定。価格は標準220d比、それぞれ57万/50万円リーズナブル。2リッターディーゼルなどメカニズム面は共通仕様。写真はAMGラインPKG(75万9000円)装着車

メルセデスの魅力がすべて詰まった実力モデル

 CクラスをベースとするSUVとして開発されたGLCは、2015年に初代が誕生し、翌年には日本で発売されて人気を博した。2020年と2021年にはメルセデスSUVのグローバル・ベストセラーになるほどの売れ行きを見せたという。

 2023年に日本で発売された2代目も好調だ。スタイリッシュなデザインと使い勝手に優れたボディサイズ、Sクラス譲りの技術が投入された高い安全性が高く評価され、日本では2024年の純輸入車の年間登録台数で実に2位にのぼりつめ、ミドルサイズSUVとしては首位になったほどの人気者になっている。

リア

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 2代目のこれまでをざっと振り返ると、まず2リッター直4ディーゼルのGLC 220 d 4MATICが導入され、2023年末には2リッター・ガソリン直4ターボに31.2kWhのリチウムイオンバッテリーとモーターを組み合わせたPHEVのGLC 350 eが、2024年には高性能版の2リッター・ガソリン直4ターボを搭載したメルセデスAMGの43と63 Sがラインアップされた。
 そしてSUV版に対してやや遅れてSUVクーペ版が登場している。

 ひととおり役者が揃ったところで、新たに追加設定された新グレードCore(コア)は、ディーゼルの220d 4MATICと同クーペをベースにしたバリューモデルである。走りや機能などクルマとしての魅力を継承しながら、標準装備とオプションを見直しリーズナブルなプライスを実現している。

ドライバーの意思に忠実なパワフルな走りに感銘

 具体的な装備内容は、アドバンスドサウンドシステムおよびリアシートヒーターが省かれ、選べるオプションはAMGラインパッケージ(75.9万円)とパノラミックスライディングルーフ(23.3万円)の2つに限られる。ボディカラーは標準のポーラーホワイトのほか、有償(8.5万円)でオブシディアンブラックとハイテックシルバー(いずれもメタリック)が選べる。

走り

インパネ

 インテリアではメンテナンスが容易で本革のような質感が楽しめるブラックのレザーARTICOが標準で、AMGラインパッケージを装着するとホワイトとグレー&ブラックの2色にグレードアップする。
 コアは、各部のシンプル化で、標準車比で約50万円ほど安い価格を実現。試乗車のクーペのプライスは866万円である。

 なおドライバーズパッケージやレザーエクスクルーシブパッケージが選べないため、GLCの特徴であるリアアクスルステアリングを装着することはできない。この点には注意が必要だ。

 試乗車は、AMGラインパッケージを装着したクーペ。AMGラインにはベースモデルとは意匠が異なるマルチスポークタイプの20㌅アルミが組み合わされる。低価格をアピールポイントにするコアでも、オプションを付けるとそれなりの価格になってしまうが、やはりGLCクーペによく似合うスポーティなルックスは魅力的だ。

前席

後席

 ひさしぶりにGLCをワインディングでドライブして、「こんなにいいクルマだったっけ?」と感じた。もともと走りに一体感があり、意のままに操れるところが気に入っていたのだが、今回コアを走らせて、あらためてその思いが強まった。

 ステアリングは切り始めから遅れなく正確に応答し、イメージしたとおりにラインをトレースしていける。そのため修正舵はほとんど必要ない。ワインディングをまさに気持ちよく走ることができる。リアアクスルステアリングがなくてもここまでできるのなら不満を覚えることはない。

 ベース車と共通の最高出力197㎰、最大トルク440Nmを発生する2リッター直4ディーゼルエンジンとトランスミッションの間に、同17Kwと205Nmを発生するISGを組み合わせたパワートレーンの完成度にもあらためて感心した。

エンジン

タイヤ

 アクセル操作に忠実に応答し、ほしいと思ったトルクをそのまま生み出してくれるので、思いどおりスポーティに走ることができる。エンジン自体がよくできているうえに、ISGが実にいい仕事をしている。スムーズでリニアに加速を立ち上げてくれているのが印象的だ。状況に応じて短時間のブーストを行い、加速性能の向上と燃費の低減にも貢献している。発進~停止を繰り返す市街地での日常使いでも大いに役立ってくれるに違いない。

 全幅が1890㎜と1.9mを切っているのも、日本の狭い道路事情ではありがたい。クーペでも後席の居住空間や荷室の広さが十分に確保されているので、不便な思いをするのでは、という心配はいらないだろう。

 今回はワインディングで試乗だったのであまり試せていないが、最先端を行く先進運転支援機能やMBUXといったメルセデスが誇る先進装備はもちろんコアにも搭載されている。

 GLCコアは、アクティブライフを楽しむための最良の選択肢である。ネーミングのとおりまさしくメルセデスのコアバリューの数々を身につけながら、厳選された内容で価値ある価格を実現している。GLCのニューカマーは、GLCが本質的に備えている魅力を再発見させてくれた。

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