【人とクルマの物語】E30型BMW M3に徹底的に惚れ込むエディター、西山嘉彦氏の技ありモータリングライフ

E30・M3はレースのために開発された駿馬。西山氏の車両は希少なレーシングパターンの5速MT仕様。「運転していて、つねに操っている実感が得られるのが魅力。自分にとってスポーツカーの基本」と語る

E30・M3はレースのために開発された駿馬。西山氏の車両は希少なレーシングパターンの5速MT仕様。「運転していて、つねに操っている実感が得られるのが魅力。自分にとってスポーツカーの基本」と語る

クルマは「人生を謳歌する」大切なパーツです

 もともとオープン2シーターが好きだったので、クルマ雑誌の版元に移ったのを機にクラシックミニから1998年にZ3に乗り換えました。Z3は携わっていた媒体で、いろいろなパーツやグッズのテスト車両として使用しました。まず外装をすべてACシュニッツァー仕様に変更。その後さらにカスタム化を施し、英国からMTパーツを取り寄せATからMTに換装しました。内装もロブソンレザーで張り替え、当時流行した発泡ウレタンでボディ補強も実施した覚えがあります。このZ3は取材の足として積極的に使用し、九州にも何度も出向きました。その結果、8000㎞のアプルーブドカーで購入したのですが、走行距離は20万㎞オーバーに達しました。

西山さん

 その後に購入したのはE30型M3です。2004年に入手しました。編集長として『BMW mag.』を立ち上げ、しばらくはZ3とともに長期レポート車としても使用しました。

 購入の目的は、関西で当時盛んだったアマチュアレース、EURO CUPに自分のクルマで参戦するためでした。M3は、新車当時のポテンシャルを知るために、初期化からスタート。サスペンションやホイールを純正に戻し、マウントやブッシュ類、ホース類、その他不具合が出そうなパーツはすべて交換しました。初期化後に外装も全塗装しています。

 兵庫県セントラルサーキットで開催されるEURO CUPには、毎回自走で参戦。後席を外してSタイヤを4本積み込み、現地で交換。自らブレーキパッドとローターもサーキット用にその場で変更しパーツテストも兼ねて戦っていました。ちなみに初期化を扱った記事は、現在でもE30型・M3オーナーのバイブルになっているようです。イベントなどで「西山さんの記事をメンテナンスの参考にしています」と声をかけられるのはうれしいですね。

 実はE30型のM3は、もう1台所有していました。というのも、今回取材してもらったラックスシルバーのM3を、“純正のたたずまいで長く乗り続ける仕様”としたことから、本格的にサーキットを走るマシンとして2010年に買い足したのです。

M3-01

M3レース

 当時は『ROSSO』と『BMWER』の編集長を兼任していたので、どちらの媒体でもレポートできるよう赤い(ROSSO)M3を選びました。EURO CUPのスプリントレースのほか、3時間耐久や9時間耐久レースにも「ROSSO号」として参戦。EURO CUPのBMWクラシックカーレースでポール・トゥ・ウインを飾ったのが最高の思い出です。2015年の9時間耐久レースでは最終ドライバーを務め、チェッカーフラッグ目前の最後のコーナーでエンジンブロー! 白煙を吐きながらチェッカーを受けました。1コーナーのグラベルで力尽き、『サーキットの狼』の公道グランプリの結末みたいだなぁ、と冷静に思ったのを覚えています。ROSSO号は5シーズンにわたって、EURO CUPを楽しんだ思い出の1台です。

 E30型のM3に惚れ込んだ理由は、「運転していて、つねに操っている感覚を楽しめる」からでしょうか。自分にとってE30型・M3は、スポーツカーの基本。いろいろな広報車に乗って比較するときのメートル原器のような存在でもあります。

M3フロント

室内

 とはいえ初期化して20年あまり。最後にヘッドカバーなどを結晶塗装する補修をしてからもすでに7年が経過。運転して楽しい状態をキープするのに手がかかるのが課題であり、また楽しみでもあります。最近の問題はボディのサビですかね。

 クルマは人生を楽しむための、ひとつのパーツだと考えています。これからも E30型・M3とは徹底的につきあうつもりです。

エンジン

エンブレム

【プロフィール】
西山嘉彦(にしやまよしひこ)/大学卒業後、ドキュメンタリー映像の助監督を経て出版業界へ。某建築雑誌の版元で編集技術をマスターし、クルマ系雑誌編集部のある版元へ移籍。その後、『AUTOCAR JAPAN』副編集長を経て『ROSSO』編集長を務めながら、BMWやランボルギーニの専門誌などを立ち上げる。2019年からはWEBマガジンの新規立ち上げならびにリニューアルに編集長として携わり、現在フリーで活動中。日本旅行作家協会会員

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