【最新モデル試乗】瞬時にワープするパワーエリート、メルセデスAMG E53ハイブリッド 4MATIC+にスペシャル版登場。さらに凛々しく変身

メルセデスAMG E53ハイブリッド4マチック+エディションナイトカーボン(PHEV)/価格:9SATC 2075万円。エディションナイトカーボンは21インチ鍛造アルミ/AMGナイトパッケージ/AMGエクステリアナイトパッケージ2など装備充実の限定車。セダン100台、ステーションワゴン50台(2104万円)を販売する

メルセデスAMG E53ハイブリッド4マチック+エディションナイトカーボン(PHEV)/価格:9SATC 2075万円。エディションナイトカーボンは21インチ鍛造アルミ/AMGナイトパッケージ/AMGエクステリアナイトパッケージ2など装備充実の限定車。セダン100台、ステーションワゴン50台(2104万円)を販売する

システム出力612ps! スーパーカーの速さとサルーンの快適性を兼備

 近年SUVが代名詞となりつつあるメルセデス・ベンツだが、王道であるセダン系の進化も素晴らしい。とくにそのど真ん中にいるEクラスのクオリティは高く、最新の技術が搭載されている。現行W214型はその代表だ。クルマの制御技術や安全装備、インターフェイスは他ブランドを圧倒する。さらにパワーソースはマイルドハイブリッド(MHEV)とプラグインハイブリッド(PHEV)というように電動化を完成させた。

 そんなEクラスのハイエンドに位置するのが、メルセデスAMG E53ハイブリッド 4マチック+。3リッター直6ターボのガソリンエンジン(M256M)に高出力モーターと大容量リチウムイオンバッテリーを組み合わせたPHEVである。ターボのブースト圧を上げたエンジンは最高出力449ps、最大トルク560Nmを発揮し、それをモーターと合わせることでシステム合計585ps/750Nmとした。RACE START時はそれが612psまでスープアップされるから頼もしい。数値だけで追えば、スーパーカーに匹敵する。

リア走り

九島さん

 今回はそのメルセデスAMG E53ハイブリッド 4マチック+に限定車が追加されたというお話。その名は「メルセデスAMG E53ハイブリッド 4マチック+エディションナイトカーボン」。名前のとおり、カーボンを主体とするパフォーマンスパーツで武装した仕様だ。限定数は150台でセダンが100台、ステーションワゴンが50台となる。ボディカラーはグラフファイトグレーとMANUFAKTURオパリスホワイト(写真)の2色。ステアリングは右と左から選べる。すでに販売が開始されているから望みどおりにオーダーできるかはわからないが、有償オプションのMANUFAKTURオパリスホワイトの左ハンドルは人気になりそうな気がする。

 ではその詳細だが、このモデルは限定装備の「AMGナイトパッケージ」、「AMGエクステリアナイトパッケージ2」が採用される。各所にブラックパーツとダーククロームパーツをあしらったもので、スタンダードモデルに対しワイルドさと高級感が増す。細部にダーク系を配することで、引き締まった印象になるのはいわずもがなだ。AMGラジエターグリルやボンネットのAMGエンブレムをダーククロームにしただけでそれを感じる。

グリル

ホイール

 足元は21インチにサイズアップした鍛造のAMGアルミホイールを装着。デザインは2種類あって、グラファイトグレーのボディにはブラック系、MANUFAKTURオパリスホワイトのボディにはシルバーカラーがセットされる。AMGのデザイナーが足元までこだわってコーディネイトしたのだろう。

 個人的にはリア回りが印象的だった。AMGカーボンファイバースポイラーリップ、ブラックカラーになった左右4本出しテールパイプ、リアバッジとAMGレタリングのダーククローム仕上げがいい。これまでサードパーティで社外品を見つけなければならなかったアイテムが初めから装着されているのだからありがたい。

室内は最新にして伝統の味わい濃厚。乗るほどに滋味を増す

 インテリアもエクステリアと同じようにブラックカラーやカーボン素材を随所に配している。センタートリムやステアリングといった部分だ。ブラックが高級感を、カーボンがレーシーな世界を演出する。

 それにしてもあらためてドライバーズシートに座ると、W214の魅力が伝わる。ダッシュボードの左右を丸く抑えた全体の形状はまるでミッドセンチュリーのクラシックカーのようだ。これまで20年近くクラシックカーラリーに出場しさまざまなモデルを見てきたが、これはたまらない。インターフェイスのデジタル部分に目が奪われがちだが、伝統の味わいもこのクルマの魅力だろう。もちろん14.4インチのメディアディスプレイと12.3インチの助手席用ディスプレイを一枚のガラスで覆ったシームレスなスクリーンはかなり先進的である。

インパネ

シート01

シート02

 走らせた印象をお伝えしよう。乗り心地は当初少し硬めで、動き出しに重さを感じた。アクセルを踏み込めば速いが、その手前では特別なクルマに乗っているといった印象はない。アクセルを踏めばモーターでスッと動き始めるが、派手なことは何も起きなかった。

 ところが、高速道路を走行中に追い越しをかけると、アクセル開度以上のトルクが発生してクルマを前へ押し出す。このモーターのトルク感は特別で、スーパーカーや大排気量車を彷彿とする力強さだ。さらにドライブモードを「スポーツ+」にするとアクセルレスポンスがクイックになり文字どおりのスポーティな走りを見せる。そのときのエンジンサウンドとエグゾーストサウンドもグッド。誇張された音がスピーカーを使ってキャビン内に響き渡る。ワルくない気分だ。このレーシーな音は車外で爆音になることはないのでご安心を。スポーティな走りをジェントルに楽しめるのがEクラスの醍醐味だ。

走り

エンジン

 なんて感じで長い時間乗っていると、不思議にも当初硬めに感じられた乗り心地がちょうどよく思えてくる。このあたりは「メルセデス・マジック」といったところ。普段の足としてW212を活用しているが、いつもそれを感じる。長く乗れば乗るだけ体に馴染む乗り味なのだ。

 というように体に馴染みながらスーパーな走りも楽しめるのがメルセデスAMG E53ハイブリッド 4マチック+エディションナイトカーボン。カーボンをふんだんにあしらった限定車だけに価格はそれなりにアップするが中身は充実。このクルマを日常使いするのが大人の余裕ってことなのかもしれない。

エンブレム

諸元

フォトギャラリー

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