誕生からすでに36年、ロードスターは世界中に熱烈なファンを持つ2シーターオープンである。
ロードスターは「こんなクルマがほしい」という社内有志の強い思いのもと商品化され、1989年にNA型が誕生する。それは当時絶滅の危機に瀕していたライトウェイトオープンスポーツの復活でもあった。
価格が手ごろでスタイリッシュ、しかもオープンスポーツならではの非日常性が味わえるNA型は世界的なヒットを記録。その後、BMW Z3&Z4やメルセデス・ベンツSLK、フィアット・バルケッタなど、数々のフォロワーを産み自動車界に大きな影響を与えた。
人気の秘密は、「人馬一体」の軽快なハンドリングと、そのオープンフィールにある。ドライバーの意思にあくまで忠実な「ヒラリ感」たっぷりの操縦感覚は、ワインディングロードにクルマを持ち込まなくても、街中の交差点を曲がるだけでも存分に味わえた。
決して速いクルマではないが、気分的な高揚感は満点。しかも室内からも簡単にオープンにできるため、オープンフィールが気軽に満喫できたのだ。普段の走り慣れた道も、陽光と風を感じてのドライビングだと爽快感が格段に違う。軽快なエンジン音と街の雑踏、時には小鳥のさえずりがBGMのドライビングは、まさに特別な時間だった。
そのうえでNA型はスタイリングが魅力的。千葉匠氏が「気負ったところがないプレーンさが魅力」と語るフォルムは、まさにタイムレスな味わい。すべてがチャーミング、それがNA型の本質である。
