【モータースポーツ特集2025】スーパーカーによる本気バトル「ポルシェカレラカップジャパン」

古今東西クルマ好きたちのココロをくすぐる
ポルシェ同士のガチンコ超絶バトル!
25周年を迎えた伝統のワンメイクレース

 ワンメイクレースは多々あるが、「世界最速のワンメイクシリーズ」と称されているのが、このPCCJ(ポルシェ・カレラ・カップ・ジャパン)である。

 使用車両は992型の911GT3カップカーで、ドライサンプ式の高回転型4ℓ水平対向6気筒ユニットを搭載する。最高出力は510㎰。モンスターマシンであることは、いわずもがなだ。

 カテゴリーは3種類で、プロ、プロアマ、アマで分かれている。その違いは外観からすぐわかるようにフロントガラスのゼッケンナンバーの色で表示される。プロが白、プロアマが黄色、アマがオレンジといったように。なので、観戦中もそれぞれの動向がよくわかる。黄色のナンバーが白と競っていると、思わず「がんばれ黄色!」なんて思ってしまう。

 エントラントはほとんどがプライベーターで、レース好きが真剣に勝負している。かつてはアマチュアのカテゴリーを“ジェントルマンズクラス”なんて呼んでいただけに、そういった色は強い。もちろん911のカップカーを走らせるわけだからそれなりに費用はかかるが、観ている側からするとカッコよさが際立つ。

 プロクラスではそれなりにスポンサーがいて、カレラカップを通じて宣伝効果を期待する。サーキットへ足を運んでくれる人たちにもそうだし、こうしてメディアを通じて知られていくパターンもあるだろう。

 そしてその中にはポルシェジャパンが若手ドライバーの育成のために行っているスカラシッププログラムもある。2009年からスタートしたこのプログラムは多くのレーシングドライバーをレース界に送り込んできた。中にはWEC(平川亮選手)、スーパーフォーミュラ(笹原右京選手など)、スーパーGTで上位に顔を出しているレーサーも少なくない。

 そのスカラシッププログラムに則って今年ポルシェジャパンジュニアドライバーに選出されたのが佐藤樹選手(22歳)。2013年にカートでキャリアをスタートし、ベルギーやイタリアでレース活動をしてきた。2022年にはJAF-F4選手権でシリーズチャンピオンに輝いている。カレラカップは彼にとって初めてのツーリングカーレースとなるが期待は大きい。

 そんなカレラカップのシリーズ戦に行ってきた。岡山国際サーキットで行われた第4戦と第5戦(5月25日)だ。前日の第3戦はあいにくのウエットコンディションだったが、この日はなんとかドライ路面でレースができた。

 第4戦はPCCJ初優勝となるゼッケン99渡会太一選手がチェッカーを受け、第5戦は昨年PCCJチャンピオンに輝いたゼッケン60の伊東黎明選手が今季初優勝を遂げた。前日の第3戦を制したゼッケン78の木村偉織選手は、この日は2レースとも2位だっただけに、今後に期待が募る。

 カレラカップは今年全11戦行われる。スタートは鈴鹿サーキットでF1日本グランプリと、最終戦は富士スピードウェイでWECの第7戦と共同開催される。大きなレースとの共同開催は観客も多いことから相当盛り上がるだろう。F1のときはまさにそう。エントラントもいつも以上に気合が入るはずだ。

 こうした背景には、今年がPCCJが25周年という特別な年であることが関係している。これだけ長く続けているのは立派だ。その間、リーマンショックや東日本大震災があったことを鑑みると、主催や運営側は相当な苦労があったことだろう。それを乗り越えてきたのだからさらなる発展を期待したい。

 

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