60歳ペーパードライバーが人気レース『インタープロトシリーズ』レース車両に同乗体験してきた結果・・・!?

 2025年5月10・11日に富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で開催された『2025 KYOJO CUP&INTER PROTO SERIES』。このレースイベントの人気コンテンツの一つである「インタープロトシリーズ同乗走行」にFMステーションonline編集部の私が参加してきた。

 インタープロトシリーズとは、2013年から富士スピードウェイで10年以上もの継続開催されているレース。各チームが専用開発されたマシン『kuruma』を用いてワンメイク・レースを行われる。どのチームも同じクルマを使用するため、ドライバーの技量が勝敗を左右するレースとして人気が高い。

 「インタープロトシリーズ同乗走行」は、国内トップドライバーが運転するインタープロトシリーズのレース車両の助手席に同乗し、実際のレースコースを走る体験ができるものだ。

筋金入りのペーパードライバー、本物のレーシングカーに驚嘆

 実は私、ほぼクルマの運転経験がない現在60歳のゴールド免許所持者。約40年前の大学生時代に運転免許を取得、取った当初は、半年ぐらい友人のクルマを借り何度か運転をしたことがあるのだが、交通の便のいい東京に住んでいたので、それ以来、現在まで全く運転をしていない、まさに筋金入り超ペーパードライバーなのだ。

 そんな私が、ハイレベルのドライビングテクニックを体験できる同乗体験を完全素人の目線でレポートする機会を頂戴することになった。

 この日の集合時間は、各レースの間の時間となる11時30分。同乗に関する簡単な説明を聞いてヘルメットを持ち、スタンバイする。説明によると「高速走行、コーナリングなどレースの臨場感が楽しめる」とのことだ。同乗での最高スピードは約220キロ、溝のないスリックタイヤの高いグリップ力はレース場でしか味わえない。参加するのは30名ほど、老若男女(18歳以上)がそろい、海外の人も少なくない。緊張する人、目を輝かせる人、皆、未知の体験に期待充分だ。私もドキドキワクワクしてしまう。

 私が同乗するのは3巡目だ。前の同乗レースを目の前で観れるのだが、スピード感が半端ない。恐怖感も生まれてきた。

 そしていよいよ順番が回ってきた。私が同乗するのは『ルーニーダイワNアキランドIPS』チーム。ドライバーは石川京侍さん、30歳の男性レーサーだ。乗車前に前の同乗者が下りるのを目の前で待つのだが、前者は降りるとすぐにスタッフに目を輝かせながら「面白い、面白い」と連発している。期待の高まりが止まらない。

 いざ、乗車。車内はものすごく狭い、初めての私では、乗り込むにも時間がかかってしまう。同乗し、シートベルトをスタッフに絞めてもらう。もう身動き一つとれない。緊張し、身体がこわばるのがわかる。「走行中はシートの端を握ってください」と言われ、ドアが閉まり、スタートを待つ。

強烈なGと200キロオーバーという未知なる体験に大興奮

 そしてスタート…。加速感が半端ない。外を見ると、風景がとんでもない速さで過ぎていく。「こんなスピード体感したことがない」そう思っていたら、コーナー前で急に減速、身体が前のめりになる。そしてコーナリング。大きなGがかかり、身体が横に強く引っ張られる。スリックタイヤのため、クルマは横倒れにはならないのだが、思わず横倒れしてしまうのではと思ってしまうほどだ。直線になると加速、目の前の風景が、すぐ目の前にやって来る。そしてまたコーナーで減速、シートの端を強く握り、Gに耐える。それの連続。一瞬も気が抜けない。最後は直線コース、速度220キロの世界を堪能し、フィニッシュとなった。降りる際、ガチガチに硬くなった筋肉で手間取ってしまった。

 時間を見ると同乗時間は約2分。しかし、体感としてはもっと長かった感じだった。一瞬の気も抜けない状態だったので、長く感じたのだろう。最高に楽しい体験だった。

 自分ではもちろん運転をしないし、ほぼクルマに同乗しない生活をしている私にとっては、カーレースは魅力がわからない、興味外のジャンルだった。しかし今回の同乗体験でレーサーたちがレースでいかにスピード、そしてドライビングテクニックを駆使し戦っているかが分かった。観客は、このことを良く知っているから、カーレースに熱中できるのだろう。

  60歳の私は、少年時代にマンガ『サーキットの狼』を読み、その魅力にはまった世代。今回の体験を通して、あの頃の気持ちが蘇り、カーレースに再び興味が湧き出してきた自分がいる。そう、すっかりモータースポーツの魅力にハマってしまったようだ。

記事:FMステーションonline編集部 永島辰彦

 

 

 

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