【20世紀名車】名車2CVとDSの技術と精神を継承。ハイドロサスを持つ1972年シトロエンGSの肖像

1978年式シトロエンGS1220パラス。1970年のパリ・サロンでデビューしたGSは2CV(1946年発表)とDS(1955年デビュー)の特徴を継承したフレンチ・アバンギャルド。少数ながらロータリーエンジンを搭載したビロートルというモデルも存在する

1978年式シトロエンGS1220パラス。1970年のパリ・サロンでデビューしたGSは2CV(1946年発表)とDS(1955年デビュー)の特徴を継承したフレンチ・アバンギャルド。少数ながらロータリーエンジンを搭載したビロートルというモデルも存在する

時代を超えて輝く造形と個性。極上の乗り心地が魅力

 シトロエンGSの特徴は、サスペンションにオイルとガスを用いたDS譲りのハイドロニューマチック方式を採用し、エンジンは2CVのユニットを発展させた空冷水平対向4気筒という点。GSは滑らかでフラットな乗り心地と高い走行安定性を提供した。

 ボディサイズは全長×全幅4120×1608mm。1970年当時の日本車では1.6リッタークラスに匹敵。一方、デビュー時の排気量は1015㏄、2年後に追加された上級グレードの1220パラスでも1222㏄だった。GSは小排気量ながら空力特性に優れたスタイリングを持ち、十分な動力性能を実現。大柄なボディを小排気量で走らせるアイデアは、現在のダウンサイジングにも通じる。前輪駆動方式の利点で室内も広かった。

リアリアスタイル/DS比で空力特性を15%改善したGSのスタイリングは社内デザイナーのロベール・オブロンが担当。1979年にはリアゲートを備えたGSAに発展する

フロントフロントスタイル/GSシリーズの累計生産台数は247万4300台。日本には1972年モデルから世紀輸入がスタート。駆動方式はFF、ヘッドライトは往年のフランス車らしいイエローバルブ仕様

エンジンエンジン/1222ccの空冷水平対向ユニット(54ps)は低い位置にマウント。エンジン上部にスペアタイヤを配置。左奥のオレンジタンクがハイドロニューマチックの心臓部

サスペンションサスペンション/ハイドロニューマチックサスは3段階に車高が変化する構造。写真は最も車高を高めた状態

タイヤタイヤ&ホイール/タイヤは145SR15サイズ。スチールホイールにフルホイールキャップを装着

ドアミラードアミラー/ドアミラーは手動調節式。ミラー本体は軽量アルミ製

マフラーエグゾースト/排気音は空冷独特の乾いたビート。軽快な印象

室内全体感インスツルメントパネル/室内もシトロエンらしい造形。室内はブラウン系のカラーで統一。ステアリングは変形1本スポーク形状。ステアリングはノンパワーのマニュアル方式

シート01

シート02シート/取材車のシートはファブリックから本革に張り替え済み。座り心地は絶品。後席もルーミー。ハイドロニューマチックサスとの相乗効果で快適性はハイレベル

メーターメーター/3連メーターはシトロエンらしいポップなデザイン。空冷エンジンのため補助メーターは燃料計のみ

スイッチスイッチ/インパネにハザードなどカラフルな印象のスイッチが並ぶ

パーキングブレーキパーキングブレーキ/パーキングブレーキはインパネ部のグリップを引くと作動。グリップはインパネ中央部に配置

車高調整レバー車高調節レバー/シートに挟まれたセンター部に車高調節レバー、そしてオーディオ(ラジオ)が装着されている

トランスミッショントランスミッション/フロアシフトの4速MT仕様。取材車はゆっくり操作しないとギア鳴りが発生

クーラークーラー/取材車は純正サンデン製クーラーを装着。冷房能力はマイルドな印象

トランクトランク/スクエア形状のトランクスペースは広く使いやすい。リッドはバンパー部から大きく開口

フロント1978年式 シトロエンGS1220パラス 主要諸元

新車時価格=198万8000円
全長×全幅×全高=4120×1608×1350mm
ホイールベース=2550mm
車重=930kg
エンジン=1222cc空冷水平対向4気筒OHC
最高出力=54ps/5500rpm
最大トルク=8.5kgm/3250rpm
トランスミッション=4速MT
サスペンション=前ダブルウィッシュボーン/後トレーリングアーム(ハイドロ)
駆動方式=FF
乗車定員=5名
タイヤ&ホイール=145R15+スチール

リア

エンブレム

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