5月31日~6月1日にかけて富士スピードウェイで開催されたスーパー耐久シリーズ第3戦富士24時間レースに参戦してきました。モータースポーツ活動を始めて3年目ですが、「参加型レースの最高峰」といわれているスーパー耐久、そして国内唯一の24時間レースへの参戦はひとつの大きな目標でした。今回、貴重な機会をいただき、関係する皆さまへ改めて感謝致します。
モータースポーツは体に負担がかかる「スポーツ」であると同時に、お金がかかる競技でもあります。そういった背景もあり、幼少期からプロを目指してカートレースをしていたような一部のドライバーを除けば、免許やライセンスの関係から、「モータースポーツを始めたのは社会人から」というドライバーも多いのです。それは筆者が参加しているロードスターパーティーレースなどの、エントリーカテゴリーで強く感じます。
そういった背景を考えると、エントリーカテゴリーでのZ世代人口は比較的多く感じます。もちろん、長年参戦している年配の方もいて、世代を超えたコミュニケーションがありますが、それがモータースポーツのよさのひとつだと筆者は感じています。
そんなエントリーカテゴリーで戦うドライバーたちの憧れの舞台が、スーパー耐久なのです。周囲のドライバーたちの多くは「スーパー耐久に参戦してみたい」といっています。筆者もそのひとりでした。
スーパー耐久に憧れる理由。それはさまざまですが筆者のようなアマチュアドライバーはもちろん、プロドライバーも多く参戦しているため「プロと同じ舞台に立てた」という実感がわくのが大きな理由でしょう。また、近年は自動車メーカー開発車両のST-Qクラスなどもありますが、前身となるN-1耐久時代からメーカーワークスとしての参戦もあり、プロフェッショナル色も強いシリーズでした。そのような場に多くのアマチュアドライバーが参戦しているスーパー耐久は「現実的だけど夢のある場」といえます。
プロフェッショナルだけど身近な雰囲気はスーパー耐久の公式SNSやライブ配信にも表れていて、国内トップカテゴリーを戦うドライバーたちがリラックスした雰囲気で登場しているのも魅力的なポイントだといえます。そんな「身近だけど華のある雰囲気」がアマチュアドライバーをスーパー耐久に駆り立てるのです。
ピットウォークやグリッドウォークをドライバーとして経験すると、それだけで気分はプロドライバーでした。しかし、最も印象深かったのはゴール後です。チェッカーを受けた後のマシンを迎え入れたときは、表現のしようがない高揚感に満たされていたのを覚えています。あの感覚は、実際にチームとして参加した人でなければわからないものだなと思いました。
ドライバーとして参戦したスーパー耐久は、無事に完走できてよかったですが、緊張からかリラックスして楽しめなかったのが、悔いが残るポイントです。国内唯一の24時間レースは「お祭り」とも称されていて、スーパー耐久の他のラウンドよりもイベントや独自の企画が多いのが特徴です。ドライバーとして全力を尽くすのはもちろんですが、もし来年も機会を作れたらこの「お祭り」を純粋に楽しめるようになりたいと感じました。
にしかわしょうご/1997年生まれ、富士スピードウェイの近くで生まれ育つ。大学時代から自動車ライターとして活動開始。さまざまなメディアで自動車記事を執筆。定期的なサーキット走行や自身でのモータースポーツ参戦を通して運転技術の鍛錬も忘れない。目指すは「書けて、喋れて、走れる自動車ジャーナリスト」。2025-2026日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員