英国の最新新車販売状況と、2030年ZEV100%目標の変更点

英国の最新新車販売状況と、2030年ZEV100%目標の変更点

MGサイバースター。最高出力510psのBEV。航続距離は約505km。MGブランドは現在中国・上海汽車が保有する

 英国のSMMT(自動車製造販売協会)が発表した2025年4月の新車販売台数は、12万331台で、前年同月比10.4%のマイナスだった。

 BEVの販売台数は2万4558台で前年同月比8.1%増、PHEVは1万4073台で同3.%増だった。一方、HEVは1万6586台で同2.9%減、ガソリン車は5万833台(同22.0%減)、ディーゼル車638台(同26.2%減)だった。英国は2024年の段階でZEV(排出ガスゼロ車)の販売比率22%が義務付けられていたが、2025年にはこれが28%に、2026年には33%とアップし、2030年にはすべてZEV車にする目標を掲げている。

 厳しい内容だが、英国は昨年BEV販売が鈍化した現状を踏まえて、2035年まではHEVとPHEVの販売を認める方針を打ち出した。ただし、HEVとPHEVに関しては平均排出量の上限を設定する。

 販売目標が達成できない場合には罰金が設定されている。従来は1台につき1万5000ポンド(約280万円)だったが、1万2000ポンド(約225万円、対象は年間販売2500台以上のメーカー)に減額された。

 英国政府の新方針をSMMTは歓迎しているが、BEVの販売促進につながるインセンティブの設定を求めている。

 英国政府は、自動車メーカーに対してZEVの販売を義務付ける「ZEVマンデート」の内容変更も決めた。ZEVマンデートは各メーカーの販売台数とZEVの販売目標を基準に、アロウアンスが付与される。A社に対して100アロウアンスが付与され、110台のZEVを販売した場合は10アロウアンスは非ZEVに対して使用でき、この分の罰金は免除される。アロウアンスは翌年分から「前借り」することができるし、他社に販売したり、翌年分として貯蓄しておいてもいい(貯蓄は3年間有効)。アロウアンスの前借りは2029年まで可能で、2030年までに返済する。

 BEV販売が主力のメーカーであれば、アロウアンスを他社に販売するメリットがある。ZEVの販売義務が現状にそぐわないことでメーカーに不利益がないように、今回の方針変更が発表された。

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